働く広場増刊号2013
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67「働く広場」増刊号 2013⑶ ジョブコーチ支援のポイントジョブコーチ支援は、障害特性を考慮し、その人が仕事を遂行し、職場の環境に適応していくための支援計画に基づいて実施するものです。ジョブコーチ支援のポイントは次のとおりです。●雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います(就職時、配置転換や人事異動といった職場環境の変化などにより、職場適応上の問題が生じたときなど)。●障害のある人が職場に適応できるように、ジョブコーチが直接的・間接的な支援を行います。●障害のある人自身に対する支援だけではなく、事業主や職場の上司・同僚などに対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、また必要に応じて職務や職場環境の改善を提案します。●事業所内の支援体制を整備し、障害者の職場定着を図ることが目的です。支援の主体をジョブコーチから事業所担当者に徐々に移行していきます。⑷ 支援の対象となる障害者ジョブコーチ支援の対象となる人の、障害状況や程度などに制限はありません。地域障害者職業センターの対象者割合(2012年度実績)では、知的障害者が約44%、精神障害者が約24%、発達障害者が約17%、身体障害者が約6%となっており、近年は精神障害者、発達障害者の対象者が増加しています。3.ジョブコーチ支援の実際⑴ 原因をふまえて対策を検討事業所で不適応状態になってしまう原因はさまざまですが、ジョブコーチ支援をより効果的に実施するために、障害のある人の状況把握のみならず、従事する作業とのマッチングや上司・同僚との関わり状況(作業指示の出し方、仕上がり基準の設定、報告のタイミングなど)も把▼握・分析しています。これによって課題や問題とされている事項の原因が明確になるとともに、対応策としてスケジュール表や手順書、セルフチェックリストなど、本人が自律的に仕事を進めていくうえで手がかりとなる支援ツールの作成にもつながっていきます。また、支援ツールを事業所全体で共有することで、作業指示の出し方や確認ポイントなどが社員間で統一され、本人の混乱や戸惑いを防止する点でも効果があります。⑵ 対処方法を実際の職場で伝達支援対象者の障害状況や作業指示の配慮事項などは、社員向けにレクチャーなどを行う方法もありますが、一定の知識はあっても、具体的な対応にあたっては戸惑うこともあります。ジョブコーチ支援では、ジョブコーチが本人と関わっている様子を周囲の社員に見てもらい、社員の反応や関心などの様子を見はからいながら、本人の障害特性やそれをふまえた対応方法のポイントを、企業に合わせて伝えるように心がけます。これは、ナチュラルサポート体制を円滑に築いていくうえでも大切なプロセスであり、ジョブコーチ支援の効果にも大きく作用するものといえます。⑶ 不安やストレスに対応作業の正確な遂行を支援する目的だけではなく、不安やストレスを抱えやすい精神障害や発達障害のある人に対して、相談を中心として、職場内でのコミュニケーションに関する支援、業務内容や職場環境の調整などを通じて、不安やストレスの軽減などの支援を行います。ジョブコーチによる支援

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