働く広場2019年4月号
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8働く広場 2019.4④個々のキャリア形成を目的にした「目標管理シート」 各部署を横断した7〜8人の従業員による「グループワーク」は、毎月1回、1時間ほど行われている。1週間前に発表されるテーマは、「服装について」、「他部署訪問時の注意点」といったビジネスマナー、コミュニケーション、ヘルス、ライフ、リスク回避の5種類のスキルに関するものとなっている。最初にウォーミングアップとして1人ずつ近況などを話したあと、テーマについての意見交換が始まる。最後には模範的回答も示す。グループリーダーがファシリテーター役をつとめるが、最近は従業員も率先して手をあげているそうだ。従業員からは「思っていたより楽しい」、「普段あまり話さない人と交流できた」という感想が出ているという。「職場内での小さないざこざも減ったような感じがします」と高橋さん。また現場では「指示された仕事をするだけではおもしろくない」という声もあったことから、従業員が「積極的に自ら考え取り組むスタイル」に転換できる仕組みの一つとして、「改善好事例報告書」の提案制度をつくった。毎月2、3件出てくるそうだが、最初のころは5件も出した意欲的な従業員もいたそうだ。「パソコンを駆使して私たちも気づかないような業務の効率化を図る提案をされたときは、さすがだなと思いました。エクセルのマクロ機能を活用することで、10時間かかっていた業務を3時間に短縮できた例もあります。潜在的な能力を発揮できる機会となっています」(高橋さん) それまでSOPの従業員は「一律給与」だったが、仕事上で高い能力を発揮したい人のために個別の評価給与や職位手当、正社員登用も含めた人事制度「職位制度(キャリアパス)」をつくった(※図)。アルバイトからスタートし、一般契約社員(入社3カ月後以降)は6〜8時間勤務で時給計算だが、入社2年以降はトレーナーのほかにリーダー職・一般職として正社員になることができる。いまは正社員が5人、うち部下を持つリーダー職が2人いるという。リーダーになると、朝礼を主導したり業務の割り振りなどを任せられることに加え、管理者として障害者職業生活相談員の資格も取得する。「グループ内の同僚のピアサポートも行うようになり、仕事をサポートしながら相談されることで、頼られることの喜びとともに仕事へのモチベーション向上にもつながっています。将来はジョブコーチの資格も取りたいと意欲的に話してくれる人もいます」と高橋さん。ただし通常の人事制度とは違い「無理をしない将来設計」を念頭に、あくまで本人の希望に沿って自由な選択ができるよう配慮している。「上を目ざしたい人もいれば、いまの状態を維持したいという人もいます。何よりも本人の意思が重要です。『自分は、病状や体力に合わせた働き方をしたい』と6〜7時間の短時間勤務を希望する人や、途中で時間を短くするケースもあります。正社員から契約社員に戻ることも可能です」職位制度と目標管理シートグループワークや提案制度目標管理シート★ビジネススキルについて、意見交換を行うグループワーク★★の写真はシダックスオフィスパートナー株式会社より提供業務の効率化を図る改善事例報告書の一例★(シダックスオフィスパートナー株式会社より提供)図 人事制度(職位制度=キャリアパス)

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