働く広場2019年4月号
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21働く広場 2019.4型の障害者雇用に積極的に取り組んできた。事業領域である不動産仲介に不可欠な間取り図や案内図の作図を、重度の身体障害のあるスタッフに在宅勤務の形で担当してもらうという仕組みだ。重度障害者の業務が事業を支えるというすばらしい取組みは、社内外から高い評価を得ていたが、「パソコンソフトを使える人材が少ない」、「障害が進行し就業が継続できないスタッフが増える」、「在宅勤務でのやりがいや成長のサポートがむずかしい」といった課題もあった。社員数の増加、事業の拡大を背景に、より多様な人材活躍を推進し、積極的な障害者雇用に取り組むために、精神障害者の雇用にふみ切ったのが2014年のことだ。ただ、その段階では周囲は決して協力的ではなかった。当時の採用担当者は、各部門に障害者に担当してもらえる業務についてのヒアリングを実施した。いわゆる「業務の切り出し」というものだ。「これはどうか?」、「これなら依頼したい」という業務はさまざま集まったが、量が少なかったり、スポットでしか発生しなかったりといった理由で、障害のあるスタッフが仕事として取組むには物足りなかった。スタート段階で用意できた仕事は、経理伝票のチェック、郵便物の配布などの四つであった。チャレスタの仕事の範囲は実に幅広い。経理伝票のチェック、宅地建物取引士証の更新確認、在籍証明書発行業務、宅建勉強会の採点・結果入力・ランキング表作成など、15部署、180種にものぼる。現在はチームを四つに分け、チーム内の業務差配も精神・発達障害のあるスタッフが担当している。そして2018年4月には、自社の成約顧客へのギフトフラワーを製作、発送する「フラワーアトリエチーム」も発足。7人中6人の精神障害のあるスタッフが1カ月に400セットのギフトを製作している。障害のあるスタッフを迎え入れてから現在まで、約5年間の取組みを聞いた。 東急リバブルは、かねてより在宅勤務「彼らの可能性は想像以上に大きい」といい切るのは、東急リバブル株式会社人材開発部長の野の中なか絵え理り子こさんである。野中さんは、在宅勤務の障害者スタッフを合わせ43人もの障害のあるスタッフを部下に持つ。うち32人は精神障害、発達障害のあるスタッフである。そのうち、通勤できるスタッフは「チャレンジスタッフ」と名づけられ、社内では「チャレスタ」の愛称で親しまれている。全国に190カ所(2018年10月1日時点)のネットワークを有する不動産仲介業大手の東急リバブルが、その「チャレスタ」の雇用に初めて取り組んだのは2014(平成26)年。いまから5年ほど前、2人の発達障害のあるスタッフと2人の精神障害のあるスタッフ、計4人の採用がスタートである。①チームを組んで働くことで好循環を生み、全体の生産性向上につながる②他企業の見学で刺激を受け、自社の障害者雇用を方向転換する③チャレンジスタッフチームの成長が、ほかの社員、組織も成長させるPOINTPOINTPOINT在宅勤務の雇用から精神障害者雇用へシフト東急リバブル株式会社人材開発部長の野中絵理子さん

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