働く広場2019年4月号
24/36

22働く広場 2019.4ただこの状況は、東急リバブルにかぎったことではなく、どこの企業でも聞かれることだ。障害のある人と働いた経験のない人が大半である。「障害のある人の能力が過小評価されていた」と野中さんはいう。障害のあるスタッフ一人ひとりを理解し、活かすうえで、“社風がマッチした”と謙遜するが、自然に43人にまで増えたのではなく、障害のあるスタッフのがんばりや、野中さんをはじめ、かかわりあう人たちの努力あっての今日だと感じる。 「精神・発達障害者雇用1期生」となる4人のメンバーは、全員が就労移行支援事業所で訓練を受けていた。この訓練により、障害特性についての自己理解や、自分が必要な配慮を都度自己発信できるようになった。また、採用後も継続的にフォローしてもらえたことも心強かったようだ。東急リバブルでは、就労移行支援事業所の担当スタッフから一人ひとりの特性を具体的にヒアリングし、働きやすい職場環境づくりに努めた。彼らの相談窓口となる専任の社員も配置し、業務指示は一本化。専任担当が他部署との業務の調整を行い、チャレスタへ業務を差配した。視覚的な指示に努め、作業指示書やメールなどを使って業務指示を行った。就労移行支援事業所の定期訪問を受け、一人ひとりの特性や障害に対する配慮やコミュニケーションの取り方、仕事の与え方などについて継続的に助言を受けた。スタート時は特に頻回の面談を行い、双方の信頼関係の構築にも努めていった。「しっかりと型をつくっていったので、その後がやりやすかった」と野中さんはいう。連続欠勤や周囲とのトラブルなど、精神障害者の雇用で不安視していたことは何も起こらなかったそうだ。それどころか、パフォーマンスは想像以上だった。仕事は正確、ていねい、納期通り。能力を発揮しやすい環境づくりが功を奏したといえよう。一般社員が残業してやっていた仕事、担当がはっきりしていない仕事をチャレスタがになうようになり、一般社員の負担軽減に大きく貢献した。しかも納期通り作業が完了しているので、社員は業務を滞りなく進められるわけだ。はじめは4種類しかなかった仕事が、どんどん増えていった。野中さんたちは自信をもって、社内に発信し、他部署からの仕事の依頼を積極的に受けていった。好循環が生まれたことで、現在は180種類にまで業務が増えている。1期生の入社から半年後、さらに3人のチャレスタの入社が決まったころのエピソードが興味深い。1期生のチャレスタたちは、特に指示されていないのに、新しく入社するチャレスタのために、そして自分たちも効率よく正確に仕事を進めるために、自分たちで話し合ってマニュアルをつくった。「もっといい仕事をしていこう」、「もっチームで働く環境が好循環を生む障害のあるなしではない「東急リバブル」という一つのチームお客さまに贈るボックスフラワーを製作する清水亮士さんフラワーアトリエでは、ハーバリウム(左)、ボックスフラワー(右)などのギフトを製作している

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る