働く広場2019年4月号
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24働く広場 2019.4事部長である我わが妻つま竜たつ雄おさん、人材開発課長の常ときわ盤耕こう司じさん、マネジメント担当の梅うめ川かわ由ゆ里りさんにお話をうかがった。精神障害者雇用を始めた当時、常盤さんは障害者採用担当者として、ハローワークなどのセミナーに足しげく出席し情報収集をしていた。「障害者の労働市場はそうとうタイトだ。従来型の部門配置型の採用のままでは、法定雇用率を達成できないな」と感じていたそうだ。さらに、現実は簡単ではない。「障害者がになえる仕事を出してほしい」と周囲に協力を求めても、十分な量の仕事はなかなか集まらなかった。「われわれの仕事には、海外出張の精算業務といった少し複雑な業務が複数ある。また、時間外労働が多くなる時期もある。一緒に働くのはむずかしいだろう」と、当時の我妻さんは思っていたそうだ。また、当時を振り返って我妻さんはこういう。「以前の自分達は法定雇用率だけを見ていた。精神障害のある人と接した経験は皆無だったので、障害者雇用は会社の外で解決するしかないのだろうと思っていた」 そんな折、我妻さんと常盤さんは、機会に恵まれ東急リバブルを見学し、精神障害のあるスタッフの仕事ぶりに驚いた。彼らは、自分たちで工夫したり、協力したりしてしっかり仕事に取り組んでいた。難易度の高い仕事ももちろんやっていた。精神障害のあるスタッフたちとも直接話をしたが、「自分の障害を理解してもらって仕事ができることはありがたい」、「苦手なこともあるけれど、その分得意なこともある。会社の役に立つのがうれしい」と、チャレンジスタッフたちが口々に話してくれた。「完全に間違っていたと気づいた」という我妻さんは、自身がリーダーを務める人事部門で受け入れることを決心する。見学の帰り道、一緒に見学に訪れた常盤さんと「緊急ミーティング」をしたそうだ。そこからは早い。まず会長に直接提案し、ゴーサインを得た。再度、人事部門全体に呼びかけ、精神障害のあるスタッフに担当してもらう仕事を切り出した。そして実習、面接を経て、4人の精神障害者が入社した。「応募者全員が『会社の役に立ちたい』といってくれた。その気持ちに応えて会社は彼らにやりがいを提供しなければならない」と我妻さんはいう。チャレンジスタッフの担当業務は、IR情報印刷、書類の電子化業務、各種社員配布書類の確認、社員から提出された書類の確認、国内出張旅費精算確認、月末払い伝票の仕分け、勤怠確認、機密文書回収・シュレッダー、会議室の備品点検・清掃などである。ホワイトボードで進捗東急リバブルの見学が障害者雇用を方向転換させるマネジメント担当社員と6人のチャレンジスタッフでチーム編成会議室の清掃、備品の点検、機密文書の処理など、チャレンジスタッフが担当している人事部長の我妻竜雄さん人材開発課長の常盤耕司さんスタッフのマネジメントを担当する梅川由里さん

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