働く広場2019年4月号
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25働く広場 2019.4Iさんは、「4人一緒の入社なので、同期ができたのはうれしい。『今日も一日がんばれたね』と励ましあえる仲間がいることがありがたい」という。梅川さんからは、こんな話をうち明けられた。「実は彼らと働くようになって2カ月くらい経ったころ、一度音ねを上げたんです。マニュアルも細かくつくらなければならない。いろいろ気を遣わなければならないと思っていました」我妻さんと常盤さんは、そんな梅川さんの姿をそばで見守り続けてきた。「当時の梅川は、優しすぎると感じる部分がありました。優しさが過ぎると頼りすぎてしまうし、頼られすぎて梅川もたいへんそうだった。でもいまは違う。やってあげるんじゃなくて、任せることができるようになった。ぐっとこらえる力ができた。ビジネスパーソンとしてとても成長したと思う」いまの梅川さんはこう話す。「いまは伴走者の感覚です。マニュアルがあると、彼らも自分も楽ですね」 「もっと彼らを売り込みたい」という梅川さん。「彼らは『これはできないかも』ということを楽々超えてくる」という常盤さん。「ダイバーシティという“お題目”で制度や仕組みをつくるのは簡単だ。でもそこで働く人の意識や企業文化が変わっていかなければダメなんです。障害者雇用は、ダイバーシティ経営を会社に入れていくきっかけになると感じる。ソシオネクストはチャレンジスタッフが入社したことで、配慮の必要な人向けの新しい人事制度もできた。周りで働いている社員の意識も変わってきた。彼らは毎日成長していく。そのがんばりを目の当たりにして、自分たちもがんばろうと思う。彼らが一生懸命に仕事に取り組む姿。『役に立ちたい』といってくれること。それらが働く意味を考えさせてくれ、自分たちも成長できる。別々に働いていたらそうはならなかった。せっかくそういう機会(障害者雇用)があるのに、味わわないのはもったいない」という我妻さんである。確認をしながらチームで仕事を進めている。スタート時は3種類だった仕事も1年で19種類にまで増えた。チャレンジスタッフを迎え入れてから、業務の見直しが進み、従業員全体の時間外労働時間が大幅に減少したという。梅川さんが6人のチャレンジスタッフの業務をマネジメントしている。梅川さんの主な仕事は、業務のとりまとめ、差配、マニュアル作成、進捗管理、体調管理などである。ルーティン業務とスポット業務を組み合わせてスケジュールを決めていく。温和な風貌は周囲を安心させる。これまで精神障害のある人とかかわった経験はなかったという。常盤さんが週1回の面談の担当である。チャレンジスタッフたちのがんばりに報いたいと、キャリアアップの仕組みもできた。 チャレンジスタッフの一人Aさんは、「これまで3カ月以上働けたことがなかった。気がついたら1年経っていた。入社するまでは就職することが目標だったけど、その目標が叶ったのだと思うとうれしい。担当する業務が増えてきて『いろいろ任せてもらえているんだな。やった仕事が評価されているんだな』と思う」という。チャレンジスタッフの成長、そして周囲の社員の変化一緒に働かないと味わえない喜び仕事の進捗状況をホワイトボードに示し、チーム全体が状況を共有し、業務を進めるチャレンジスタッフを見守る梅川さん

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