働く広場2019年4月号
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5働く広場 2019.4障害者雇用を進めるなかで課題といわれている「就労定着」。2018(平成30)年度は、障害者総合支援法に基づく新たな障害福祉サービス「就労定着支援」もスタートしたが、これまでも各企業はさまざまな努力・工夫を重ねて「長く働き続けられる職場」を目ざしてきた。今回紹介する特例子会社「シダックスオフィスパートナー株式会社(以下、SOP)」も、その一つだ。日ごろの体調管理から仕事の「やりがい」、長期的なキャリア形成まで含めた細やかなサポート体制と人事制度をつくり、定着支援の全国展開にも取り組んでいる。学校給食・企業食堂の受託運営などで知られるシダックスグループがSOPを設立したのは2011年。その背景には、全国の事業所で働く障害者従業員へのサポートの必要性があったという。SOPの相談役・担当部長を務める高たか橋はし秀ひで明あきさんが話す。「シダックスグループの全国の事業所には、約550人の障害のある従業員がいます。そのうち95%の事業所が1人のみの配属という環境で、受入れ側も『長く働き続けてもらうためにどのようにサポートすべきか』、悩むケースも少なくありませんでした。そこで、まず核となる特例子会社をつくり、ノウハウを蓄積しながら全国にも展開していこうということになりました」現在、SOPに在籍している障害者は51人(2018年6月1日現在)で、内訳は精神障害者が39人、知的障害者が8人、身体障害者が4人。精神障害者が8割近くを占める。事業所は東京都渋谷区と調布市の2カ所に分かれている。業務内容は、7割が「事務代行サービス」で、データ入力・各種伝票作成・実績リスト作成・資料のPDF化・ファイリング・社内書類のチェックなどだ。ほかにメール便などの集配・仕分け作業やシュレッダー、名刺・ポスター・リーフレットなどの印刷サービスなども請け負っている。 業務内容などによって分かれる各グループには「グループリーダー」と呼ばれる「定着支援員」(調布5人・渋谷4人)がいる。主にシダックスグループの社員が出向するが、勉強会や研修を重ねながら専門スキルを身につけているという。これまでに5人がジョブコーチ(企業在籍型職場適応援助者)、2人が障害者職業生活相談員の資格を取得。ほかに産業カウンセラーやユニバーサルマナー検定の資格保持者もいる。設立当時からグループリーダーを務め、調布事業所長でもある佐さ藤とう功よし晃あきさんは、自身も身体に障害がある。シダックスグループの調理師学校で学び、企業の社員食堂で腕をふるっていたが、20歳のころ筋肉が萎縮する病気を発症し、車いす生活に。その後はシダックスの管理本部で会計業務を担当していたところ、SOPから声がかかった。「立上げ当初からしばらくの間は、間違いなくたいへんでした。よくわからないなりに、メンバーたちと一生懸命やってきました」と振り返るが、精神障害のある従業員が8割定着支援員がグループリーダーに調布事業所長でグループリーダーの佐藤功晃さん相談役・担当部長の高橋秀明さん① 体調管理から「やりがい」まで細やかにサポート②従業員一人ひとりに合わせてキャリア形成③ 蓄積したノウハウを全国の事業所で活かすPOINTPOINTPOINT

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