働く広場2019年4月号
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6働く広場 2019.4勤務は10時〜17時までだが、繁忙期には1時間ほどの残業もこなすようになった。ただ、集中しすぎているときには、松尾さんたちから「息抜きするといいよ」と声をかけられるそうだ。「午前中に必ず1回、午後は15時ごろを目安に外の空気を吸いにいきます。松尾さんが、なにかと話題を提供してくれて楽しい会話ができるのも、自分にとっては大事な息抜きになっています。それでもつらいときには、仕事量の調節を柔軟にできるので安心できます」SOPでは、従業員が「体調管理」、「セルフケア」をスムーズに行えるようサポート体制を整えている。採用が決まると、まず「自己紹介シート」を作成してもらう。内容は、働きたい理由や将来の目標のほかに、得意・不得意なこと、希望する配慮、調子を崩したときの症状、不調なときに対応可能なセルフケア方法などだ。毎日、出勤後には、体調の意思表示をしてもらう。壁に貼ってある顔マーク「ちょーハッピー」、「まあまあ」、「まずまず」、「もうだめだ」の当てはまるところに自分の名札を貼っていくほか、自分の「気分ノート」にも書き込む。よくない状態の顔マークに名札を貼った従業員には、現場で常に心がけてきたことが一つあるそうだ。「どうしたらできるか、ということです」グループのメンバーから「この作業はできません」と相談されたときも、まず「じゃあ、どうしたらできるようになるか考えてみよう」とうながす。マンパワーの問題なのか、ハード面の問題なのかを含めて一緒に解決策を探る。そうやってともに成長してきたなかで一番よかったと思えるのは、設立当初のメンバーがほとんど残っていることだそうだ。「前の会社を3年で辞めた人が、SOPでは4、5年目に入ると、『あ、記録更新したね』と一緒にお祝いしています」と佐藤さんは顔をほころばせる。事務代行サービスの担当フロアを訪ねると、10人ほどがパソコンと向き合い黙々と作業していた。デスクまわりを歩きながら指導していたのは、グループリーダーでジョブコーチでもある松まつ尾おゆり子さん。情報システム部の庶務担当から5年前に異動してきた。同時に情報システム部の一部の作業もSOPで請け負うことになったという。松尾さんが気をつけているのは、何か注意をする際はきつい表現にならないようにして伝えることだという。「怒られた」、「嫌われた」といったマイナスの気持ちが残らないようにするためだ。そんな松尾さんを「上司としてありがたい存在」だと話してくれたのは、同じグループに在籍する三み永なが信のぶ泰やすさん(52歳)。2009年にシダックスのグループ会社に入社し、2011年のSOP設立時に転籍となった。三永さんは大学卒業後、高齢者介護施設に就職。8年間勤めたが、気力・体力的につらくなってしまい退職したという。2005年から就労移行支援事業所に通い、障害者向けの合同企業面接会でシダックスグループにめぐり合った。SOPではデータの入力・集計・チェック、資料のPDF化などを担当している。体調管理・セルフケアをサポート名刺・リーフレットの作成、印刷と、パソコンを使っての仕事が多いグループリーダーでジョブコーチとしても活躍する松尾ゆり子さん入力データをチェックする三永信泰さん。仕事量と体調を柔軟に調整して仕事を進める

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