働く広場2019年5月号
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9働く広場 2019.52018(平成30)年11月に開催された「第38回全国アビリンピック沖縄大会」は、過去最多となる選手382人が参加した。なかでも、社内から5人が出場し、4人が金・銀・銅賞を獲得する大きな活躍を見せた企業がある。長野県に本社・拠点を構える「セイコーエプソン株式会社」(以下、「エプソン」)の特例子会社「エプソンミズベ株式会社」(以下、「ミズベ」)だ。2004年からアビリンピックに参加し、昨年の地方大会には過去最多15人が参加したという。彼らが日ごろ職場でどのように働きながらアビリンピックを目ざしているのか、訪ねてみることにした。1984(昭和59)年、全国14番目の特例子会社としてスタートしたミズベには、障害のある従業員134人(2019年2月時点)が在籍している。障害種別の内訳は知的障害者86人(64%)、身体障害者33人(25%)、精神障害者15人(11%)。もう一つの特例子会社「有限会社エプソンスワン」(山形県)を含め、エプソングループ全体の障害者雇用率は2・55%(2018年6月1日時点)。うち4割超がミズベで占められている。エプソンとミズベの本社は、いずれも諏す訪わ市にある。冬の風物詩「御お神み渡わたり」で知られる諏訪湖や諏訪大社などがある観光地だが、精密機械・部品関連に代表される工業都市でもある。長野県内に点在するエプソンの事業所内8カ所に、ミズベも業務拠点を置いている。エプソンから請け負っている業務内容は、カートリッジ類の仕分けから防ぼう塵じん衣類クリーニング、DTP、生産用部品の再生、時計梱包、特許図面作成、ビルクリーニングなど、20種類以上にわたる。 さっそくアビリンピックに挑戦した選手たちが働く現場を見て回った。まずはミズベ本社に併設されている湖畔工場。ここでは使用済みインクやトナーのカートリッジ仕分け、基板実装、時計部品の加工前の段取り作業、生産用部品再生などを行っている。リサイクルを目的とした「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の一端をになう仕分け部署には、見覚えのある箱がたくさん積み上げられていた。郵便局などに置いてあるカートリッジ回収ボックスだ。ここではメーカーごとに仕分け直している。小中学校などから寄せられたベルマークつきインク・トナーカートリッジの集計なども行っていた。両手を流れるように動かしながら仕分け作業をしていた平ひら林ばやし昌まさ也やさん(23歳)は、昨年の全国アビリンピック沖縄大会で金賞に輝いた1人だ。出場した「製品パッキング」種目では、圧倒的なスピードと正確さで会場の見学者を驚かせていた。平林さんは地元の就労移行支援事業全国大会に5人が出場就業時間内に練習「製品パッキング」種目で念願の金賞を受賞した平林昌也さん(左)。インクカートリッジの仕分け作業をしている全国アビリンピック沖縄大会で入賞した同社のみなさん(エプソンミズベ提供写真)① アビリンピックへの出場は、業務内容に関係なく本人の意欲を尊重②就業時間内に練習時間を確保。業務ができない時間は同僚がフォロー③ サポートする従業員に対し、カウンセリングや勉強会を開催して支えるPOINTPOINTPOINT

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