働く広場2019年5月号
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11働く広場 2019.5は未熟でした。来年はもっと腕を磨いてメダルを取りたいです」いまは印刷業務がメインで、DTP業務はたまに手伝うぐらいだという市川さんだが、今年の長野のアビリンピック地方大会PRのためのポスターデザインを任された。市川さんは「この職場は周りで手話を使える人が多く、コミュニケーションで困ることはありません。仕事内容や連絡事項を細かく伝えてくれるので安心です。気兼ねなく、仕事に集中できます」とも教えてくれた。ちなみに職場には手書き用の電子ボードも置かれていて、専門用語などを説明するときなどに活用しているそうだ。きは上司に確認しています。作業の合間に世間話をするのも楽しいですね」オペレーターとして指導役もつとめる村むら崎さき和かず浩ひろさんに、武居さんの仕事ぶりについて聞くと「この作業で必要な『感性』も持ち合わせており、優秀です」と太鼓判を押してくれた。コピー用紙・名刺・ノートなど、使用目的によって再生紙の仕様は異なるため、用途に合わせて投入する紙を手際よく的確に仕分けたり、効率を考えて段取りを行うなど、さまざまな工夫をしているという。「武居さんは、職場で欠かせない存在になっています」と村崎さん。この再生紙をフルに使い、エプソン社員の名刺もつくっている。下肢障害のある森もり下した美み和わさん(43歳)は、パソコンと専用のプリンターを駆使して名刺づくりに励む。全国アビリンピック沖縄大会にも同行し、「障害者ワークフェア」の出展ブースで名刺印刷の実演を担当した。「400人分の名刺をつくろうと再生紙400枚を持ち込んでがんばったのですが、結果は200人分」と苦笑いする森下さんだが、「多くの企業の方や来場者のみなさまと交流し、再生紙のことも紹介できて、よい経験になりました」と語る。ペーパーラボは来年度以降、ほかの事業所にも配置し、障害のある従業員がかかわる業務として、さらに定着させていく予定だそうだ。本社内には、多くの社外見学者が訪れる場所もある。「ペーパーラボ」が置かれたフロアだ。エプソンが2015年に世界に先駆けて新開発したという製品「ペーパーラボ」は、機密文書などの使用済みの紙を、水をほとんど使わず新たな紙に再生する“乾式オフィス製紙機”だ。この部署では、社内から集まってきた使用済み文書1日あたり約6千枚を、5千枚の再生紙にしている。ペーパーラボの操作に従事している武たけ居い昌まさ紀のりさん(30歳)は2016年に入社。別工場の清掃チームにいたが、何度かペーパーラボ部を手伝う機会があり、能力を見込まれて昨年異動してきたそうだ。「まだ新しい製品で作業内容の改善をくり返しているため、新たな作業を覚えていくのは少したいへんですが、迷ったと高速ラインインクジェットプリンターでの印刷を担当する市川尚正さん全国アビリンピック「電子機器組立」種目に出場し、銅賞3回のベテラン、横よこ内うち庄しょう一いちさん再生紙での名刺づくりをする森下美和さん「感性」を見込まれて、清掃チームから異動してきたペーパーラボの操作をする武居昌紀さんワークフェアで名刺作成の実演

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