働く広場2019年5月号
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23働く広場 2019.5持っている“気持ち”を育んでいきたい、という私の基本的な考えがあります。あるとき、障害のある子どもを持つ知人が『自分の子どもを昭和食品で働かせたい』といってくれました。うれしかったですね。これがきっかけで、障害のある人と接するようになりました。それ以来、徐々に私のなかで『この会社を障害のある人が働ける、いい会社にしたい』という考えが固まっていったのです。当社には海外からの技能実習生も働いていますが、社員一人ひとりの“気持ち”を大事に教育していれば、障害のある人や外国人に対して自然と優しくなれるものなのです」さらに、こうも続けてくれた。「4年前から本格的に障害者雇用の取組みを開始しましたが、その際に、それまでの現場を離れ、改めて客観的に会社を見るようになってから、障害者雇用は“人徳”、つまり、人としてやるべき根本の問題であると痛感しました。例えば以前、買い物に行ったときのことです。駐車場で車いすの人が自動車から降りようとして、誤って落ちてしまったことがあったのですが、周りの人たちがびっくりしているなか、私はとっさに行動しました。そして『ありがとうございます』の言葉をもらったときに、『行動することが大切だ』と実感しました。シンプルで簡単なことです。でも、それと同時に『周りのに工場を訪れた際も同様だった。実に気持ちがいい。このような元気な声かけも、最近の企業では少なくなったように思う。2階の社長室で赤あか石いし貴たか正まさ代表取締役社長とお会いし、さっそく、インタビューとなった。昭和食品は、現在の社長である赤石貴正さんの父親が1972(昭和47)年2月に設立した。現在は貴正さんが代表となり、国内7工場と、東京支店を含めた全社の運営にあたっている。社長になって10年目の現在52歳。経営者として最も力を発揮できるときであろう。障害者雇用に取り組むきっかけについて、赤石社長はこう語る。「私は、自分の部下や社員への教育はどうあるべきかを考えるとき、『ほかの人のことをどれほど考えられるか』ということを常に念頭に置いています。その根本には、経営者として、社員一人ひとりが日本人は「焼き鳥」が好きな国民ではないだろうか。日本全国津つ々つ浦うら々うらどこに行っても焼き鳥屋を見かける。それだけ大衆に好かれ、酒の友としても欠かせない食べ物ということであろう。今回訪問したのは、その焼き鳥の製造・出荷額で日本ナンバーワンを誇る、前橋市にある株式会社昭和食品である。群馬県で障害者雇用のアドバイザーをしている西にし方かた正ただしさんから情報をいただき、焼き鳥好きの一人として、ぜひ取材に訪れたかった企業である。JR両りょう毛もう線の前橋大島駅からすぐの場所にある本社を訪れたのが午後1時半前。管理部長の福ふく島しま榮さかえさんに迎えていただき、中へ入った。社員の方々が「いらっしゃいませ」と次々に声をかけてくれた。後①感謝の気持ちで接することが、雇用の安定につながっている②社員一人ひとりの“気持ち”を育む③チャンスにチャレンジできるよう準備するPOINTPOINTPOINT社長の考えが全社に代表取締役社長の赤石貴正さん管理部長の福島榮さん

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