働く広場2019年5月号
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24働く広場 2019.5人も一緒に行動できること』が重要だとも思いました」昭和食品は、2014(平成26)年度までは雇用率が低迷し、法定雇用率を達成できないこともあった。しかし、2015年度には雇用率2・73%を達成し、2017年度は3・3%にまで伸ばしてきた。算定基礎人数が453人の会社で、障害者雇用率が3%を超えているのは素晴らしいことである。現在は身体障害者3人、知的障害者7人、精神障害者9人の計19人が在籍している。さらに素晴らしいことに「離職者」が出ないのだ。これは、ていねいに仕事を教えることによって、定着につなげることができることを証明している。「障害のある人や外国の技能実習生にも感謝の気持ちをもって接することで、雇用の安定につながっている」と赤石社長は話す。工場内を視察したが、さすが食品加工工場。細部まで徹底された衛生・品質管理が行われ、生産設備が整っている。入場時の衛生管理も徹底していた。パンフレットにも書かれていたが、「食の安全は生命の根源」であり、徹底した品質管理が求められる。全従業員がこのことを理解し実践しており、どこにも負けない素晴らしいものがある。障害の有無にかかわらず、決して妥協を許さない姿勢がうかがえた。本社から少し離れた場所にある第一工場へ移動し、この第一工場で障害のある社員として入社第1号の亀かめ井い聡そう太たさん(27歳、知的障害)にインタビューをした。現在は入社9年目で、梱包用の段ボールの組立て作業をしている。いまではさらに、ほかの工程にもチャレンジし、多能工化も進んでいるようだ。「高校2年生のときから現場実習をし、卒業後に入社しました。チームワークを第一に、外国の人たちにも仕事や日本語を教えています。友達がいっぱいほしいです」と語る。副工場長の谷たに藤とう伸のぶ宏ひろさんは「彼はまじめなうえ積極的で、一つの仕事だけでなく、複数の仕事をこなしてくれます。今後はさらに、いろいろな仕事にチャレンジして新しい業務を覚えてもらいたいと思っています。そのための環境はつくっていきます」と話す。赤石社長もときどき現場に来て「声かけ」を行う。彼らにとって、大きな励みになっている。本社敷地内にある第二工場。ここでは障害のある人たち5人が働いている。責任者である工場長の大おお塚つか正まさ明あきさんは「一つの仕事に集中して取り組む力がすぐれており、一般社員以上だと感じることがあります。彼らは、ここでの大きな戦力となっています。仕事を覚えてもらうのに時間がかかることもありますが、大き第一工場で第二工場で赤石社長(左)の声かけに答える亀井聡太さん(右)と、見守る副工場長の谷藤伸宏さん(中央)

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