働く広場2019年5月号
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26働く広場 2019.5入社15年目の荒あら川かわ泰たい三ざぶ郎ろうさん(70歳、知的障害)は、ここへ来るまでは豆腐屋で働いていたそうだ。「年齢が年齢ですが、あと5年はがんばりたい」とのこと。せいろなどの製造機器の清掃・洗浄作業が中心だ。「夏は暑いからきついです。滑らないように床の掃除も気をつけています」と話す。肉処理・カット・検品・解凍とさまざまな作業をこなす木き村むら真まさ之ゆきさん(49歳、精神障害)は、2011年5月入社、8年目のベテラン。「ミートボールのライン以外はすべて経験しました。異物混入がないよう、また衛生管理、ナイフによる作業などは特に注意して行っています」と語ってくれた。赤石社長は「当たり前のことですが、職場では個々の役割があります。社会の一部として機能することが大切です。ですから私は、可能性を秘めている人たち、チャレンジする人たちに、この会社を上手に利用してもらって、夢に向かって進んでほしいと思っています。でもそのためには、仕事とのマッチングが大切だと感じています。海外では自動化が進み、コスト的にも安価な商品が輸入されていますが、わが社の生産ラインは自動化はしません。わが社が国産と手づくりにこだわるのは、古くから日本人は産地や旬、季節感を大切にし、繊細な味にこだわる感性を持っているからです。人の手でていねいにつくることで、それらが“気持ち”になって商品に現れるのです。お客さまのニーズに合わせた食品をつくるには、やはり人の手で、国内製造でなくてはいけません」と語る。精神的な問題を抱える人が多くなった現代社会のなかで、使命感を持って雇用につなげていく昭和食品。人権意識や人間関係が希薄になっている昨今だが、「人がチャレンジできる場を会社が準備していくことが重要」と赤石社長は考えている。「チャンスとチャレンジを基本に、自分に自信をつけてステップアップしてもらいたい」と話す。社会的な役割をになうなかで向上心が持てるよう、自らも積極的に社員へ声かけを行う。昭和食品は“人ありき”の会社である。人事管理にたずさわる管理部長の福島夢に向かってほしい今後の展望トレイの洗浄を担当する荒川泰三郎さん

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