働く広場2019年5月号
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27働く広場 2019.5進めていくことがポイントです」と語ってくれた。どの企業にもいえることだが、障害者雇用における重要なポイントの一つは、その企業のトップの考え方である。法定雇用率のため、CSR(企業の社会的責任)の観点をもった雇用は、障害者雇用そのものの考えが全社員に浸透しにくい。もちろん、法律に定められたものであるから、その達成は必須である。しかし、障害者雇用の本質は「すべての人が、人として、人らしく生きること」である。「やってあげる」だけでは、受け入れられた人たちの気持ちはなかなか向上しにくい。障害のある人たちにチャレンジをさせ続け、戦力として活用する。これは、人財育成の基本である。「できないのは何か」ではなく、「何ができるのか」を見出していく。その方向性をトップ自らが旗を振り、全社員に根づかせるのが管理職の役割である。人を育てるのはむずかしいが、人は覚えたことは忘れない。人には心がある。“この人のためなら”とか、“この会社のためなら”といった気概を引き出すことができるかが、すべての「鍵」となるであろう。今回の昭和食品は、多様性のなかでそれを見事に発揮している企業であった。さんは「現状として、若い人の採用は年々むずかしくなってきている。今後は、外国人技能実習生を含め、障害のある人たちも“戦力”として募集を進めていきたいと考えております。もちろん企業経営ですから、それぞれのバランスが重要です。なかでも障害のある人たちには、現場で自立できるようにサポートしていきます。特に目標値は定めませんが、それは雇用率ありきではないということです。自立のための応援を自然体でやっていきます。障害のある人のために仕事をつくるのではなく、その仕事ができるように最後に肉処理、カット、検品と、さまざまな仕事をこなすベテランの木村真之さん第二工場長の大塚正明さん(右)と、副工場長の井口英治さん(左)

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