働く広場2019年6月号
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働く広場 2019.6前に実習経験のあったワークスから声がかかった。ワークスの営業課長として社員指導にもあたっている松まつ下した勝かつ章あきさんからの推薦だった。「実習時に出してもらった南さんの履歴書に、朝刊の新聞配達を3年間続けたと書いてありました。増員が必要になったとき、そのことを思い出したのです」南さんも「新聞配達のおかげなのか、集配先を覚えるのも台車を押して回るのもまったく苦ではありません」と笑う。ちなみに南さんはマラソンが趣味。前回出場した大阪マラソンでは同僚たちの寄せ書き入りのTシャツを着て、沿道から声援を受けながら完走したそうだ。一方で「私はインドア派です」と笑う山本さんは、「仕分作業は時期によってとても量が多く、たいへんですが、やりがいもあります。職場の人たちがみんな優しいので、ここに就職してよかったなと思います」と話してくれた。午前10時半にいったん全員が事務所に戻り、休憩時間をとる。20歳前後の若い社員が多いためか、冗談も飛び交う学校の教室のような雰囲気だ。みんなをまとめているのは主任の曽そ和わ喜き久く蔵ぞうさん(61歳)。定年後に再雇用されたベテラン社員だ。機会を見つけては社員たちを近くのお好み焼き屋に連れていったり、一緒にカラオケを楽しんでいるという。松下さんは「社員を見守り世話を焼いてくれる曽和さんの人柄が、現場をうまくまとめてくれているのだと思います」と話す。  堺事業所開設から2年後、車で15分ほどの距離にあるクボタ堺臨海工場でも、清掃・集配業務の一部をスタートさせた。まず先輩メンバーたちが順番に担当してみることにし、1カ月後には先輩2人と新人1人、指導員1人が堺臨海工場に直接通う形をとった。大きな生産工場内にある手洗い場や廊下は、工場の油などが混じった汚れもあり、清掃の重要度も高い。先輩メンバーの一人、山やま中なか淳あつ暉きさん(22歳)は先日、入社3年目にして母校の東とう朋ほう高等専修学校から依頼され、講演を行ったそうだ。在校生徒や保護者ら50人を前に、マイクロソフトのパワーポイントを使い、ワークスの紹介や自分たちの仕事などについて1時間ほど話した。堺臨海事業所主任の宮みや田た浩こう二じさんたちと一緒に資料をつくり、出張扱いで講演に臨んだという。「私自身、クボタワークスに正社員で就職してから楽しく働けているので、後輩たちのほか、保護者にも希望につながる話ができたと思います」と山中さん。村むら松まつ愛あいさん(23歳)は「最初はトイレの場所や確認作業、工場内を回るルートなどを覚えるのに苦労しましたが、いまベテランを新事業所に送り出す休憩時間に遠えん藤どう勇ゆう士じさん(右)とコミュニケーションをとる主任の曽和喜久蔵さん(左)堺製造所で清掃を担当する田た村むら彩あやさん(左)、三みつ井い愛あいさん(中央)、松まつ田だ夏なつ希きさん(右)堺臨海工場では、小型汎用エンジンなどが製造されている「講演は緊張しましたが、よい経験になりました」と話す山中淳暉さん(写真提供:クボタワークス株式会社)堺臨海事業所主任の宮田浩二さん。山中さんとともに、出張報告書もまとめた堺臨海工場で清掃を担当する村松愛さん(左)、山中淳暉さん(中央)、井上なつきさん(右)8

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