働く広場2019年6月号
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働く広場 2019.6識の向上に努めているという。 2019年4月には新たに12人の社員を迎え、障害のある社員は9事業所で計50人になった。これまで清掃会社から派遣されていた指導員も、頻繁な入れ替わりによる混乱を避けるため、ワークスによる直接採用を進めている。分散化する事業所と本社のつながりを強化するため、1月にクボタからの出向社員として芦あし田だしのぶさんが配属された。それまで障害のある人とは縁のない職場にいたという芦田さんは、毎日のように各事業所を回り、社員たちと交流しながら名前と顔を覚えてもらっているところだという。「どの社員にとっても、なにか困ったときに話しやすい存在になりたい。事業所と本社のパイプ役としてどんどん動き回りたいです」と意欲を見せる。車いすに乗る久く保ぼ添ぞえ優ゆう子こさんは、ワークスで15年働くベテラン社員。事務所内では事務全般を取り仕切る大黒柱である一方、「頼れるお姉さん」として社員の実質的な「相談窓口」のような役割も長く果たしてきたそうだ。「いまではクボタグループの社員が、仕事中に困っていそうな様子のワークス社員を見かけると、心配して事務所に知らせに来てくれることもあります。また、ワークス社員をグループ社内のイベントに誘うなど、日ごろから気軽に声をかけてくれます。グループの一員として認知され、見守ってもらっているなと実感します」社員が増えたことで、2018年からは団体で親睦旅行ができるようになった。バス旅行の行先は神戸市内の動物園。酒井さんは動物のかぶり物をして園内で隠れる演出を、日下さんはバス内でカラオケやビンゴゲームなどを企画して、社員たちからは大好評だったという。「今年も趣向をこらし、みんなで楽しみたいと思います」と酒井さんはいう。 ワークスは日ごろからクボタ人事部との連携にも努めている。月1回は本社人事部とワークス、もう一つの特例子会社で、野菜の水耕栽培を手がけるクボタサンベジファーム株式会社(2010年に設立。以下、「サンベジ」)による会議で情報共有を行っている。さらにクボタ人事部が中心となって、グループ内での業務の洗い出しやマッチングの可能性を模索しているところだ。2017年からは事務代行などを手がけるグループ会社「株式会社クボタスタッフ」(以下、「スタッフ」)で精神障害者を中心とした雇用拡大も図っている。クボタ人事部ダイバーシティ推進室長の増ます田だ卓たく司じさんは「特例子会社が蓄積したノウハウを活かし、クボタ社内でも障害のある社員がともに働ける環境や合理的配慮のあり方について検討しています。地元の大学や就労支援機関との連携も進んでおり、一般枠での応募者も出てきています。グループ全体での障害者雇用のあり方について、ワークス・サンベジ・スタッフ3社の実績や課題を見極めながら、しっかり前に進めていきたい」と話す。最後に酒井さんからワークスの今後の展望について語ってもらった。「ワークスの大きなミッションの一つは、業務を通じグループ内で『なくてはならない存在』になることです。そのためにも柱である清掃業務の質・技能の向上は必須でした。検定やアビリンピックへの参加をうながすことが、予想以上に社員の技能向上に対するモチベーションアップにつながったことを実感しました。清掃業界は人手不足ともいわれているので、ワークスが少しずつ力になっていきたい。また今後は、グループ内でほかにどんな業務ができるかについてもさらに検討します。クボタグループの一員として、一人ひとりが新しい技能の習得や仕事に、いきいきとチャレンジしていけるような職場を目ざしていきたいと思っています」事業所の分散化ダイバーシティ推進に向けて株式会社クボタ人事部ダイバーシティ推進室長の増田卓司さん久保添優子さんは、業務部長の日下さんとともに事務全般を取り仕切っている社員が口をそろえて「楽しかった」と話すバス旅行での一コマ(写真提供:クボタワークス株式会社)11

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