働く広場2019年6月号
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担当者会議(以下、「就しゅう担たん会かい」)は、大田区の就労支援ネットワークの推進力でもある。その原点は遡さかのぼること40年以上前の1976(昭和51)年。かつて区が直営していた「授産施設」での「施設は通過の場であるべき」という就労支援の取組みに端を発している。その後、図2に示すように、就担会の構成メンバーも拡大。多様な関係者が参加し、いまでは毎回の参加者は、40〜50人にのぼり、大田区の障害者就労支援のネットワークモデルとなっている。また就担会は、定期的な学習会や施設ごとの就労支援状況報告に加え、課題が生じたときの協議の場の機能も果たす。「一つの事業所で抱え込まず『連携・協働』の観点から、課題を解決できるところがメリット」と広瀬さん。就労支援センターが事務局機能を果たしながら、必ずしも会議を介さなくても連携を進めることのできる関係性がすでに構築されている。定着支援事業の一つである「たまりば」事業。就職後の職場訪問や、仕事帰りに仲間と集まる〝居場所〞としての役割に加え、就労者激励会を継続して開催している。この「たまりば」事業の正式名称は、「就労者自助活動支援事業」。毎週金曜日職員が4人。同じ事務所内で、実質的に協働しながら支援が進展する。連携の要となる就労支援ネットワーク会議は、実務者によるネットワークづくりを、就労支援センターが事務局となって進めているのが特徴だ。具体的には、図2に示す会議が定期的に開催されている。主要な構成要素は、①大田区自立支援協議会就労支援部会、②大田区障害者就労促進担当者会議、③就労移行支援事業所連絡会、④職場体験実習実行委員会である。このなかで、②大田区障害者就労促進より行う「直接支援」と、大田区支援調整担当(就労)がになう「側面支援」の〝共同運営〞だという。直接支援では、就労相談、職業適性評価、就労促進支援、就労定着支援、仲間と語りあう居場所である「たまりば」の運営を行う。一方、側面支援では、大田区支援調整担当(就労)が中心となって就労支援ネットワークの構築を図っている。具体的には、関係機関との連携、企業開拓、区内外の就労支援ネットワークとの連携である。(図1)大田区との協働体制の利点について、育成会に所属する山田さんは、「区が実施する多様な制度について詳しい職員がすぐ近くにいること」をあげる。就労支援部門の構成は、育成会の職員が12人、区強固な連携の要、ネットワーク会議定着支援の充実を目ざして働く広場 2019.6大田区立障がい者就労支援センターの業務(区市町村障害者就労支援事業)■就労相談■職業適性評価■就労促進支援 (就労移行支援事業所)■就労定着支援■「たまりば」①大田区自立支援協議会就労支援部会 (第3月曜日・年10回) 労働・教育・医療・民間・地域・学識・福祉②大田区障害者就労促進担当者会議 (毎月第2火曜日・年12回) 労働・教育・福祉(知的、身体障害就労系 事業所等=主に就労継続支援事業B型)③就労移行支援事業所連絡会(隔月・年6回)労働・福祉 (就労移行支援事業所、自立訓練事業所)④職場体験実習実行委員会(適宜)福祉(精神障害就労系事業所)毎回40~50人が参加■内容 ネットワーク事業の企画・実施、就労支援事例や雇用についての情報交換■構成メンバー:就労支援事業所(20)、特別支援学校(3)、生活支援機関(6)、ハローワーク(1)、地域福祉課(福祉事務所)、広域支援機関(東京障害者職業センター、東京ジョブコーチ支援室等)(4)■事務局:大田区立障がい者総合サポートセンター支援調整担当(就労)■就労支援ネットワークの構築■関係機関との連携■企業開拓(雇用・実習)■区内外の就労支援ネットワークとの連携出典:大田区立障がい者就労支援センター 小林善紀氏提供資料出典:大田区立障がい者就労支援センター 小林善紀氏提供資料を改編共同運営図1就労支援ネットワーク会議の実施実務者によるネットワークづくりを事務局として進める会議を介さなくても連携を進める=事業所訪問・情報提供図2月に一度第3金曜日に、「たまりば」の会場となる地域活動支援センター「スペースC」毎週「さぽーとぴあ」4階で開かれる「たまりば」は参加者の憩いの場となっている年に12回開催される大田区障害者就労促進担当者会議▲写真提供:大田区立障がい者総合サポートセンター直接支援東京都手をつなぐ育成会就労支援部門側面支援大田区支援調整担当(就労)22

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