働く広場2019年6月号
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に決定していくことが肝心だ。職場定着を確実にするためには、就労に向けた初期段階からの支援が欠かせない。このため、地域でのさまざまな相談をになう障害者相談支援事業では、就労に関する相談に対して適切な支援が求められる。しかし、就労や障害者雇用に関する情報について、必ずしも相談支援の担当者間で共有されているとはいえない。こうしたなか、大田区立障がい者総合サポートセンターと、立教大学コミュニティ福祉学部地域連携・協働プロジェクト(担当:富とみ田た文ふみ子こ助教(当時))が共同で開発したのが、相談支援事業所などとの連携ツール、「障がいのある方の支援者向け就労支援施設ガイド『大田区ジョブック』」である。この冊子には、相談支援事業所で相談支援専門員などが区内の障害者の相談にあたる際、適切な事業所を案内できるよう、各事業所のプログラムの特徴などが具体的に掲載されている。就労をめぐっては、最初にどの相談支援事業所に相談するかによって、その後の働き方が方向づけられる面も少なくない。相談支援の担当者は、生活全般に高いアセスメント力を有しているが、就労となると実際の働き方、例えば就労継続支援B合支援法に基づく就労定着支援事業がスタートした。施行から約1年、具体的な成果についての評価はまだ先になるが、福祉サービスとして位置づけられていることから、就労移行支援事業所などと公的な就労支援機関との役割分担は大きな課題といえる。就労支援センターでも、就労移行支援事業を行っているため、就労定着支援事業の指定を受けている。「就労移行支援事業所は、就職後6カ月間のフォローアップと、その後最長3年間の就労定着支援事業を行うため、『3年半後』の定着をどう支援するのかが大事である」と山田さんは強調する。長期にわたって安定的に就労していくためには、支援の密度を段階的に見直しながら、長期的、継続的な定着支援を行う仕組みが欠かせない。一方、登録者が年々増加するなかで、どのように効果的な就労定着を実現していくべきかは大きな課題である。大田区では、就労支援センターの公的な位置づけを意識しながら、この根本的な課題に挑んでいる。就労移行支援で主体的にかかわる多様な特徴を活かして、就労定着支援に臨むことを基本に、全体的な調整機能を果たすこと。ここでも、地域のネットワークが背景にあることに気づかされる。「どのような支援が必要になるのか」を基盤に、どの機関を中心に支援を行うのかを柔軟の勤務終了後に、就労する仲間とゲームや食事を楽しみ、和気あいあいと過ごす活動の場である。登録者のうちの40人ほどが参加しており、活動を通して、仲間同士の支え合い、すなわちピアサポートを実現する場となっている。通常はさぽーとぴあ内で開催されるが、第3金曜日は参加者の実費負担で、大森の地域活動支援センター「スペースC」を借りて行われている。「たまりば」は、就労支援センターが大田区下しも丸まる子こにあった時代に、特別支援学校の卒業生に就職後の支援をしたことがきっかけとなり設置された。金曜日の仕事帰りにリフレッシュする「ヨコ」のつながりを求める声に対応した。いつも参加している登録者が来ないときには、職場不適応の可能性を予測することができるなど、就労支援者側から見ても定着支援の一環として優れた取組みであるといえる。特に、職場での課題のみならず、生活上の課題は職場定着に大きな影響を与えていると考えられるなか、「たまりば」は、登録者の暮らしぶりが表出し課題を見つけやすい、まさに「居場所」であり、「拠点」なのである。ところで、2018年度から障害者総相談支援事業所などとの連携ツール『大田区ジョブック』継続的な定着支援のために働く広場 2019.6就労支援施設ガイド『大田区ジョブック』23

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