働く広場2019年6月号
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―――グループにおける特例子会社の位置づけやかかわりについて教えてください。浦田 「あい」のスタート時、障害のある従業員は6人でしたが、現在は10倍以上に増えました。事業内容もユニフォームレンタル業務から、館内物流業務、DM封入・POP発送業務、マッサージなどのリラクゼーション業務、食堂・売店運営、清掃業務、農業まで、大きく拡大してきました。 そして、これまで「あい」で蓄積されてきた障害者雇用にかかわるノウハウを、さまざまな形でグループ各社に伝えながら支援すること、これが「あい」の大きなミッションです。キユーピー本社の労務・総務のメンバーも含めて年2回の支援会議を開催しながら、幅広い情報共有を行っています。 また、2017年まで「あい」の代表取締役社長を務めていた庄しょう司じ浩ひろしが、今年の5月までグループ各社を巡回しながら、障害者雇用に関する受入れ側へのサポートの一環として、アドバイスなどもしていました。今後は、そのノウハウを「あい」が受け継ぎ、グループ 特例子会社をグループ適用してしまうと、それぞれのグループ会社が「自分たちは障害者の雇用をしなくてもいい」といった考えに流れてしまう恐れがあり、それではグループで目ざすべきダイバーシティの推進から遠ざかってしまいます。ですから当初からキユーピー単体と「あい」、そしてグループ各社がそれぞれ社会的責任をもって障害者雇用に取り組んできました。 キユーピーグループには食品メーカーとしてさまざまな業務がありますから、全国に分散している会社・事業所・工場ごとに、それぞれの地域で障害のある方たちが活躍できる雇用の場をつくることができます。例えば、鶏卵加工事業を展開している「キユーピータマゴ株式会社」の各工場では、卵や容器を洗浄する工程などに、障害のある従業員が入ってくれています。同社の障害者雇用率は6・83%、成田工場では18%を超えており、「戦力」として活躍いただいています。 結果としてグループ全体で働いている障害のある方は計550人ほどになり、障害者雇用率もキユーピー単体で3・28%、国内グループ(物流システムを除く)でも3・12%になりました。―――障害者雇用率を達成するために特例子会社を設立する企業も多いなか、キユーピーではグループ適用(※)をしていないそうですね。浦田 キユーピーグループでは2003(平成15)年に特例子会社「株式会社キユーピーあい」(以下、「あい」)を設立しました。 キユーピーグループには、経営基本である社しゃ是ぜ「楽らく業ぎょう偕かい悦えつ」があります。「楽業偕悦」とは、「同じ志をもって一致協力して目標に向かい、個人の意欲・やりがいを大切にして仕事を楽しみ、困難や苦しみを分かち合いながら悦よろこびを偕ともにしていこう」という考え方です。この理念を全従業員が実感できる企業であり続けるために、キユーピーらしいダイバーシティ(多様性)を推進しています。従業員一人ひとりが一緒に働く仲間の声に耳を傾け、活発な議論をし、さまざまな場で交流しながらダイバーシティを身近に感じること。そして障害のあるなしに関係なく、理念に共感する従業員たちが能力や個性を活かし、働く喜びや、やりがいを実感できるような職場環境づくりをグループ全体で目ざすというものです。働く広場 2019.6※グループ適用:特例子会社がある場合、グループ会社も同様に障害者雇用率を通算することができる制度グループ各社で障害者が働ける場をつくる特例子会社がノウハウを伝えサポート3

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