働く広場2019年6月号
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会社への〝水平展開〞をしていきます。中林 私たち「あい」では、グループ社員向けに「なるほど!theキユーピーあい」と題した広報活動を行っています。渋谷のキユーピー本社や、2013年に東京都調布市に開設したグループオフィスの「仙せん川がわキユーポート」内に展示をしました。また、障害特性や一緒に働くうえでの工夫などをレクチャーしたり、障害のある従業員たちと一緒に食事をしながら話をする機会をつくっています。そのほか、社員向けのミニ手話講座やクイックマッサージも好評です。 第四の柱は「売上創出」。グループ内のさまざまな仕事のなかから、いかに障害特性に合った業務を切り出していくかです。むずかしい仕事も、分解したり方法を工夫すれば、障害のある人も十分に取り組むことができます。 職場においては、〝障害のある人〞というくくりだけではなくて「その人自身の強みは何か」を見ながら、その人に合う仕事、強みを活かせる仕事をしてもらうことが一番ですよね。例えば「集中力」があることで、工場のライン業務や物流倉庫の現場などにおいて一般従業員よりも活躍している人も少なくありません。そこでリーダーを任されたり、正社員に昇格したケースもあります。――グループ各社の障害者雇用で、予想以上にうまくいったと思うことはありますか。浦田 やはり当初からグループ適用を行わなかったことで、各社がそれぞれ責任をもって雇用推進に取り組んでこられたことは大きいと思います。障害のある社員が担当している業務は特別なものではなく、これまでグループ会社の社員が行っていた身近な仕事のなか ――採用から定着支援、また人材育成について工夫していることはありますか。浦田 採用から定着支援まで、「あい」で構築された四つの柱を中心にしたノウハウが、グループ会社に応用されています。 第一の柱は「採用」。本人の人生がかかっているといっても過言ではないので、その仕事にしっかりマッチングしているのかを慎重に見極めることが大切です。面接後に2週間の実習期間を経てから採用しています。 第二の柱は「総務・労務」。長く勤めてもらうためには、時代や環境に合わせながら一人ひとりにあったサポート、人的配置を含めた人事体制が必要です。場合によってはキユーピー本社の専門部署と情報を共有したり、アドバイスをもらったりしながら慎重に進めています。 第三の柱は「人材育成」。私たちは、主体性・自立性のある社員としての能力の向上をはかることに重点を置いています。障害のある人も、時間をかけて少しずつ仕事を進めながら、一般社員と同じような仕事ができるよう、能力を高めています。働く広場 2019.6「その人自身の強みは何か」を見る一緒に仕事に取り組み、互いに認め合う4

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