働く広場2019年6月号
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働く広場 2019.6テレビドラマ「下町ロケット」の撮影に、無人農業トラクターを提供したことで話題になった「株式会社クボタ」(以下、「クボタ」)は、農業機械の国内トップメーカーでもある。クボタが特例子会社「クボタワークス株式会社」(以下、「ワークス」)を設立したのは2002(平成14)年。ワークスは社員19人(うち障害者11人)でスタートしたが、2019年4月時点の社員数は73人、うち障害者は50人(内訳は身体障害者が4人、知的障害者が44人、精神障害者が2人)まで増えた(グループ6社の障害者雇用率は2019年4月時点で2・44%)。事業所も、大阪市浪速区のクボタ本社と同じ敷地内にある本社事業所をはじめ、堺、堺臨海、枚ひら方かた、ケミックス堺のほか、4月からはクボタの事業所・工場のある恩お加か島じま、本社阪神、久きゅう宝ほう寺じ、筑波が加わり計9カ所まで拡大してきた。主に、クボタグループの事業所・工場内の清掃業務を中心として、郵便物の仕分け・配送、名刺・文書印刷、軽作業などの業務を行っている。まず、ワークスの堺事業所があるクボタ堺製造所(大阪府堺市)を訪れた。ここは1937(昭和12)年の操業開始から長い歴史を誇り、機械事業部門の「マザー工場」と呼ばれている。東京ドーム4倍超にもなる敷地内で約2500人が働いているという。2016年、その一角にワークスの堺事業所が開設された。現在、指導員を含む12人が配属され、事務所棟内のロビーや会議室、トイレ、更衣室などの清掃業務と、敷地内に散在するグループ21部門の集配業務を担当している。清掃と集配は毎日、午前と午後の交代制で全員が行うことになっている。午前9時半ごろ、エンジン組立工場と研究開発部門棟の間の通路で台車を押していたのは南みなみ 剛ごう輝きさん(22歳)と山やま本もと弘ひろ樹きさん(21歳)。台車に載せられた大きな青い箱のふたを開けてもらうと、手さげカバンがぎっしりと詰まっていた。配達先の21部門別のカバンで、それぞれに郵便物などが入っている。エレベーターで各階に行き、2人で手分けして各フロアの担当者に直接手渡したり、専用の場所に置いてきたりする。配り終えるとそのまま事務棟に移動し、今度は整理棚に新しい郵便物などを仕分けていく作業を手際よく始めた。南さんは、地元の職業能力開発校に半年ほど通ってから、最初に食品工場に就職したそうだが「2日で辞めてしまいました」と明かす。同工場では衛生上の理由でマスクと帽子を着用するため「みんなの顔がよくわからず、マスク越しに話される内容も、よく聞き取れなかった」ことから、コミュニケーションに不安を感じたのだという。再び職業能力開発校に戻ったところ、以広い事業所内で清掃・集配研修会や勉強会で仕事へのプロ意識を高めるビルクリーニング技能検定やアビリンピックに挑戦会社独自の安全教育やハラスメント撲滅宣言も123「クボタワークス堺事業所」が入るクボタ堺製造所。製造・調達部門、研究開発部門、サービス部門が設置されている社内便の集配業務に就く山本弘樹さん(左)と、南剛輝さん(右)工場内で集配する2人営業課長の松下勝章さん1POINT7

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