働く広場2019年7月号
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などを活用しました。また、新潟労働局、新潟県、長岡市、新潟障害者職業センター、障がい者就業・生活支援センターこしじ、ハローワーク、特別支援学校などとの連携が欠かせなかったし、お世話になりました」と感謝する。家老さんは夢ガーデンの設立出資者の一人になり、いまもUNEと連携しながら障害者や高齢者の就労に同一歩調で取り組んでいる。2015年、夢ガーデンは地元の大だい光こう銀行から「地方創生大賞」を贈られた。障害者雇用、耕作放棄地の活用、山菜栽培の三つが過疎地の地域活性化へつながったことが評価された。夢ガーデンの応接室には2017年、当機構から緑水工業へ贈られた、「障害者雇用優良事業所表彰」の「理事長努力賞」の表彰状が額に入れてあった。緑水工業の社しゃ是ぜである「何なん等ら報いらるるを期待しない献身的な努力」が実を結んだ、一つのあらわれである。夢ガーデンから車で5分ほど、谷あいの傾斜地に水田、畑、農家が点在する一之貝地区に「UウネハウスNEHAUS」というドイツ語表記の看板がかかる木造2階建ての民家がある。ここがUNEの本拠地、借りて障害者、その家族とともに畑を耕し野菜づくりを始め、2011年、市議会議員の任期切れとともにUNEを中山間地区にある長岡市一いち之の貝かいに立ち上げた。その最初の仕事として取り組んだのが特例子会社の設立と誘致であった。「過疎地に誘致すれば一気に障害者雇用は前進するし、地域活性化の拠点になる」と考え、緑水工業に働きかけた。ちょうど緑水工業も業務を拡張しようとしていたことなどから、特例子会社の設立は会社の方針として決定された。先進地の視察などを行い、「株式会社夢ガーデン」を設立登記した。その後、障害者就職面接会への参加、特例子会社としての認定と、2012年3月まで家老さんと緑水工業の担当者は走り続け、1年がかりで特例子会社発足へ漕ぎ着けた。県内で2番目、全国的には数少ない中小企業の特例子会社だった。当時を振り返り、家老さんは、「就労を目ざす障害者にとって、﹃一般企業に就労する』という目標ができた。武藤さんはUNEで働いていましたが、当法人からの推薦で就職説明会に参加し採用されました」という。設立に際し、さまざまな助成制度があることを知り、活用した。「障害者雇用納付金制度に基づく助成金、トライアル雇用奨励金などの申請、障害者の受入れ後のジョブコーチ支援、生活支援なっています。発足時にはコミュニケーション不足からトラブルもありましたが、最近は落ち着きました。個性を把握することが大事です」と野口さんはいう。実は、特例子会社設立を提案したのは「特定非営利活動法人UウネNE」(以下、「UNE」)代表理事の家か老ろう洋ひろしさんだった。2004(平成16)年、中越地震が長岡市を襲った。山やま古こ志し地区などは被害が大きく、全国へ報道された。当時、長岡市議会議員だった家老さんは被災者支援に東とう奔ほん西せい走そうしたが、自力で避難所に行けない障害者や介護の必要な高齢者が、救援物資も届かず、停電のため暖房もない自宅に取り残されている様子を目の当たりにした。このことがきっかけとなり、障害者が地域のなかで安心して暮らしていけるよう、2008年、信濃川の河川敷を特例子会社設立のきっかけ就労につながる特産品づくり働く広場 2019.7シイタケなどキノコの原木の整理をするスタッフUNE代表理事の家老洋さん長岡市の山間地、一之貝地区22

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