働く広場2019年7月号
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働く広場 2019.7して「職場復帰に向けての目標チェックリスト」(以下、「目標チェックリスト」)(図3)を作成しました。  「目標チェックリスト」は、復職調整において重要なポイントである、職場復帰に向けた目標についての関係者の認識のすり合わせや調整を行う際に活用するツールで、①職場復帰可否の判断基準の内容を具体的な目標として落とし込み、すり合わせることと、②目標に対しての達成度を確認することを主な使用目的としています。加えて、確認した結果をもとに、復職に向けて重点的に取り組む必要がある項目を休職者が自覚し、これをふまえた効果的な取組みにつなげていくことも活用のねらいとしています。 (3) 行程整理シート  休職者が、職場復帰に向けたスケジュールについて、各段階における活動や必要な手続を記入し整理するために活用できるツールとして、「行程整理シート」(図4)を作成しました。行程を時系列で視覚化することで、職場復帰までの流れがイメージしやすくなり、見通しを持って準備を進められるという効果が期待できます。「行程整理シート」を活用することを通じて、休クリスト」を活用し、目標やその達成度について事業主とすり合わせを行ったところ、突発的な休みや週初めの欠勤の多さが課題であること、改善のために不調の原因を理解し対処法を習得する必要があることが示されました。その結果、休職者自身が、休日の活動量の多さが欠勤に影響していることに気づき、「生活リズムを整え、翌週に支障のない休日の過ごし方を身につけ、具体的なストレス対処法を習得する」という、明確な目標を再設定することができました。支援開始時点で具体的な目標を確認、事業主と共有できたことで、休職者自身も意識して改善に取り組むことができました。    円滑な復職を目ざすためには、復職に向けた準備を始める段階で、休職者、事業主、支援者が必要な情報を整理し共有することによって、復職時に目ざす状態像についての共通認識を持つことがとても大切です。休職者や事業主の状況はそれぞれ異なり、復職に向けた取組みはさまざまであり、順調に進むケースばかりではありませんが、円滑な復職を目ざすための手立ての一つとして、今回ご紹介させていただいた本マニュアル・支援ツールをご活用いただけると幸いです。  今後も多くの事例を積み重ね、ツールの開発・改良をしていきたいと考えています。  支援マニュアルNo. 19 「職場復帰支援における事業主との調整」は、障害者職業総合センター研究部門のホームページ(※1)に掲載しています。また、冊子の配付を希望される場合は、当職業センター(※2)に直接ご連絡ください。 職者本人が主体的かつ計画的に、職場復帰に向けた動きを進めていくことをねらいとしています。   (1)制度や流れの正確な理解につながった事例  JDSP利用前に複数回休職をくり返してきた休職者が、曖あい昧まいに認識していた復職に関する制度や休職中の所得補償について、「情報共有シート」の活用を通じ、一つずつ事業主に確認を行うことで、実際の制度や復職時に得られる配慮について、正確な情報を把握することができました。これにより、経済面の不安が軽減し、現実的な復職目標時期を考えられるようになったとともに、JDSP通所段階、慣らし出勤段階、正式復職段階といった、各ステップでの目標を具体的にイメージすることができ、達成に向けた行動に反映させていくことができました。 (2)事業主と支援目標を共有できた事例  「休まずJDSPに通所できさえすれば復職できる」と考えていた休職者に対して、「目標チェッ※1 障害者職業総合センター研究部門http://www.nivr.jeed.or.jp/center/center.html   支援マニュアルNo.19  http://www.nivr.jeed.or.jp/center/report/support19.html ※2 障害者職業総合センター職業センター TEL:043-297-9043図3図42 ツールの活用事例や効果について3 まとめ27

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