働く広場2019年7月号
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働く広場 2019.7レンコン生産量が茨城県に次いで全国2位の徳島県。ここにレンコン加工業界で国内最大手といわれる「株式会社マルハ物産」がある。創業は1958(昭和33)年で、1964年から松茂町で操業している。工場と事業所は徳島県・茨城県のほか中国にもあり、レンコン取扱量は年間計6千t以上にのぼるという。キノコ・サツマイモ・タケノコ・ゴボウなどの農産物も含めた加工食品(水煮・酢漬け・味つけ・冷凍など)700種以上を業務用や市販用に製造している。本社工場は、徳島阿波おどり空港から車で約7分。従業員59人のうち、知的障害のある男性従業員10人が在籍している。障害者雇用率は17・22%(2019年3月末時点)と、非常に高い。障害の程度は軽度から重度まで、年齢も20~50代と幅広い。具体的な仕事内容は、加工品の原料となる農産物の洗浄・選別をはじめ、加工品の袋詰め・梱包や機械洗浄など、多岐にわたる。管理部部長で工場長もつとめる大おお鋸が史し郎ろうさんは「障害のある従業員は各製造ラインにまんべんなく配属され、ほかの従業員と一緒に業務を行っています。人員的にも作業内容的にも、なくてはならない存在です」と話す。 マルハ物産では、30年以上前の1980年代から知的障害者を実習生として受け入れてきた経緯がある。工場がある松茂町内に1958年に開所した障害者支援施設「吉野川育成園」(以下、「育成園」)から依頼を受けたのが始まりだという。「特にレンコン加工は、秋から春先にかけての繁忙期にはどうしても人手不足になるため、皮むき作業などを近所の人たちに手伝ってもらっていました。気軽に『ちょっと来てや』と声をかけ合う近所づきあいのなかで、育成園ともつながっていったようです」と大鋸さん。しっかりとした雇用記録が残っているのは約30年前からだそうだが、職場実習を続けるなかで、一定程度の適性と意欲のある人が雇用契約に結びついていった。工場の製造ラインは共同で取り組む作業が多いため、ほかの従業員に混じって作業をしながら、適性に合わせて少しずつ作業量や時間を増やしていったという。こうして工場内で障害者が一緒に働く職場環境が除々につくられ、従業員の出入りがあっても自然になじめるような企業風土が受け継がれてきたようだ。障害者雇用率17%超の食品加工工場30年以上前から施設とつながりその人の適性に合わせ、各製造ラインに障害のある従業員を配置経験によって資格取得をうながし、組織全体の底上げへ地元の知的障害者施設と連携し、業務委託も行う123管理部部長と工場長を兼務する大鋸史郎さん一日あたり約455tの農作物を加工している1POINT5

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