働く広場2019年8月号
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働く広場 2019.8NOTE ホンダ太陽株式会社は、本田技研工業株式会社の創業者である本ほん田だ宗そう一いち郎ろう氏と、社会福祉法人太陽の家の創設者である中なか村むら裕ゆたか博士の「障害のある人達の社会的自立の促進」という理念のもと、1981(昭和56)年に設立された、本田技研工業株式会社の特例子会社です。製造業における障害者雇用のパイオニアであり、特例子会社としては全国で9番目に認定されました。 設立から38年を迎える同社は、特例子会社として歴史ある企業ゆえの課題も抱えています。同社総務部部長の廣ひろ瀬せ正まさ明あきさんにお話をうかがいました。 「設立当初の従業員の平均年齢は30代前半でしたが、会社の歩みとともに従業員も年齢を重ねて、現在の平均年齢は40歳です。障害のある従業員の加齢化は、数年前から当社の課題となっています。当社の業務は、基本的に流れ作業で行っていますので、障害のある従業員の加齢化により、既存の組立て業務での対応がむずかしくなり、仕事ができなくなるという状況があります。対応策として、流れ作業の『作業分解』や、治じ具ぐ(※)を製作して、できないことをカバーし活躍してもらう場をつくっています」 「作業分解」とは、流れ作業において作業工程を部分的に抽出することです。製造部製造課第1製造係係長の成なり久ひさ智とも彦ひこさんにうかがいました。 「重度障害のある高齢従業員の場合、流れ作業の一部をになってもらうことがむずかしくなる場合があります。女性従業員(57歳)の事例では、以前はドライバーで円盤を押す作業を行っていましたが、年齢を重ねるにつれ、手が震えてねらいが定まらなくなりました。このままだと事故や機械の故障にもつながりかねないため、早めの対処として、その業務をほかの従業員に移行して、女性従業員には『作業分解』によってワッシャー分け作業などにシフトしてもらいました。そのほかにも、シールやパッキン貼りなど、作業分解で得られた作業があります。『この作業なら働く障害者の高齢化 本テーマの第2回から第4回までは、障害のある高齢従業員への対応を進める企業を取り上げていきます。 今回は、「雇用継続への取組み事例(身体障害編①)」として、本田技研工業株式会社の特例子会社「ホンダ太陽株式会社」(大分県)の事例をご紹介します。数年前から高齢化が課題に「作業分解」で高齢化への対応Vol.2NOTE雇用継続への取組み事例(身体障害編①)※治具:作業を行ううえで、部品や工具を固定するとともに誘導してくれる器具総務部部長の廣瀬正明さん左から、製造現場のリーダーを務める渡邉昭次さん、加藤和徳さん、成久智彦さん10

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