働く広場2019年8月号
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働く広場 2019.8 「彼が車いすに乗り始めたのは、5〜6年ほど前です。加齢による筋力低下により何度か転倒したため、事故につながらないよう早めに対処し、車いすに乗って作業を行ってもらうことになりました。当社では加齢により、車いすに乗りながら作業する従業員が増えています」 さらに加齢化に対応するうえで、治具の活用も重要になります。同社は、治具で特許を取得するなど、治具づくりにも定評があります。 「治具を使用することで、障害のある従業員も作業スピードを速めることができそうだ』と現場が判断して、個人の能力に合わせて作業の振分けをしています。作業分解により、以前と変わらないスピードで業務が遂行できるように、改善を心がけています」  続いて、比較的重度の障害のある男性従業員(57歳)の作業状況を紹介します。この男性従業員は、車いすに乗りながら、ホースにクリップをつける作業を行っています。 製造部生産管理課係長の加か藤とう和かず徳のりさんが状況を話してくれました。けず、周りにも迷惑がかかるから、という理由です。そういう場合も、状況を見ながら工夫してなるべく残ってもらうようにしています。加齢によりできなくなることが増えたとしても、『チャレンジしながらレベルアップしてほしい』という気持ちでいます」と話してくれました。 加齢化への取組みは、現状ではまだ模索段階だそうです。今後は、特例子会社として親会社の理解と協力を得ながら、加齢化が進んでも効率的に作業できる環境づくりが、さらに求められてくると考えます。できます」と加藤さん。 また、廣瀬さんは「現場で意見を交わしながら、作業がしやすくなる治具を製作したり、もともとあった治具を使いやすくカスタマイズしています。作業上の困りごとは治具を使って改善し、ユニバーサルデザインという観点から配慮した対応を行っています」と話してくれました。 加齢という課題に対して、今後はどのような取組みを考えているのでしょうか。 「当社はもともと製造業が中心でしたが、パソコンで行うスキャナー業務などへシフトすることも進めています。しかし、そういった業務に対応するのがむずかしい高齢従業員もいます。そのため、いろいろ模索しながら、業務のバリエーションを増やしていかなければと考えています」と廣瀬さん。 また、製造部製造課第2製造係2班班長の渡わた邉なべ昭しょう次じさんは、作業現場の状況について、「『製造ラインのメインではなくサブに回してほしい』という従業員もいます。自分が作業についてい今後の対策、留意すべき点治具と車いすの活用で業務の安定化ワッシャーの表裏を分ける女性従業員治具を使い、ホースにクリップをつける作業を行う車いすに乗った従業員が多く働く製造ライン11

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