働く広場2019年8月号
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きた。まず初めに、「障がい学生支援室」の利用がご自身の学生生活に与えた影響について聞いた。発達障害のあるAさんは、自分の特性や傾向を見つめ直すことができ、それに合わせた履修計画、卒業までの見通しを立てることができたという。「面談担当の先生が、自分のこれまでの失敗や、ダメだと思っていた部分も否定せずに受け止めてくれて、味方になってくれました。苦しいときに寄り添ってくれたり、諦あきらめそうなときに手助けをしてくれます。支援室を利用し始めたことで、到底無理だと思い込んでいた卒業が現実的なものとなり、自信がつきました」と話してくれた。また、同じく発達障害のあるBさんは、「自分の内にある、理解や共感が得られないかもしれないことを気軽に相談できたことや、進路の情報が入手でき、社会に出る準備ができてよかった」と話してくれた。次に、今後の期待や要望などを含め「障がい学生支援室」に伝えたいことを聞いた。Aさんは、「大学では、自分を気にかけたり管理したり導いてくれる人はいない精神科医が常駐して継続的なサポートを行い、「学生相談部門」では、カウンセリングを通じて自己理解を深めることができる。「障がい学生支援室」では、修学支援を通じて自身の困り感について手立てを考える実践を行っている。次に、発達障害のある学生の就職に関する支援の課題と、今後の取組みについてもお話をうかがった。「障害者枠求人の場合、実質的に高卒求人と同等の雇用水準・キャリアパスとなるケースが多いため、新卒の段階では障害者枠の求人に対して二の足をふむ学生が多いようです。また、障害者枠での就職を目ざす学生は、卒業へのモチベーションが下がってしまう場合もあります。ただ、身体障害のある学生は、自身の特性をオープンにして一般枠の求人にチャレンジする場合も多いので、発達障害のある学生も一般枠の求人にチャレンジできるよう、今後、企業にも発達障害に関するさらなる理解や活躍の場の提供を求めていきたいと思います」と黒田さんは語った。「障がい学生支援室」を利用している在学生お二人にもお話をうかがうことがで14年6月に開設された(支援体制は図の通り)。2017年度「障がい学生支援室」の利用者は102人、うち発達障害のある学生は71人である。利用者数・相談件数ともに開設当初より年々増加している。利用学生の学年が上がり、就職活動でつまずく場面が増えてきたため、最近では修学支援だけでなくキャリア支援についても強化している。早稲田大学では、「キャリアセンター」、保健センターの「診療部門」と「学生相談部門」、「障がい学生支援室」の4部門がそれぞれの特徴を活かし障害のある学生の支援にあたり、学生が最初にどの部署を訪ねても、適切な支援につなげられるよう各部署で連携し対応している。「キャリアセンター」では、障害の有無にかかわらず進路相談や就職活動に関する指導を行っている。保健センターの「診療部門」では、支援室を利用する学生の声働く広場 2019.8資料提供:早稲田大学「障がい学生支援室」図 発達障がい学生への支援システム学部・大学院(教務主任・職員)保健センター学生相談室医療部門身体障がい学生支援部門発達障がい学生支援部門本人・保証人障がい学生支援室各教員問題への解決方法・具体的支援の検討各箇所との連携・調整・支援会議の招集ライティング・センター外部医療機関外部就労支援機関キャリアセンター奨学課など緊密に連携教務部ポータルオフィス企画・建設課24

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