働く広場2019年8月号
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働く広場 2019.8同支援」を行う割合が約3割と、ほかの機関と比べて多いことが確認できました。 また、支援困難と判断された具体的な事例から、障害別に障害者本人がかかえる困難要因を整理したのが左記の図になります。 障害別に困難要因は異なりますが、「自信のなさ︵自己肯定感の低さ︶」については、共通した困難要因であったことが確認できました。 アンケート調査に続き2018年には、地域センターと障害者就業・生活支援センターの職  職業リハビリテーション分野のなかで、精神障害者及び発達障害者の就職や職場定着に関する支援の困難さの認識は、地域のさまざまな支援機関によって大きく異なっており、いわば「玉虫色(※1)」であるといえます。 本研究では、地域における職業リハビリテーションの中核機関と位置づけられている地域障害者職業センター︵以下、「地域センター」︶に対して、地域の関係機関から要請のあった「支援困難な事例」の量的な把握に加えて、精神障害者及び発達障害者がもつ特性などのうち、支援困難につながる要因や課題の実態を把握することを目的としました。 2017︵平成29︶年に実施したアンケート調査の結果、地域の関係機関において、自らの機関では支援困難であったために地域センターへの支援の要請につながった要因は、大きく分類すると三つのタイプがありました。一つめは、それぞれの機関を利用している障害者本人の状況に由来するもの︵例:障害のとらえ方が曖昧、重複障害、離転職が多い、障害を開示し支援を得つつ就職することへの整理がついていないなど︶、二つめは、支援要請のあった機関の状況に由来するもの︵例:設立後間もない、マンパワー不足や適した支援プログラムがない、支援経験や支援スキルの不足など︶、三つめは、地域センター業務への直接的なニーズがあること︵例:アセスメント、ナビゲーションブックの作成、作業能力の把握、支援計画の策定、職業準備支援・リワーク支援・ジョブコーチ支援の利用、事業所訪問への同行︶でした。特に就労移行支援事業所からの支援の要請に対しては、当該事業所から地域センターへ支援をバトンタッチするのではなく、ともに支援を進める「協ー地域ネットワークにおける支援の困難さに対する地域障害者職業センターの役割ー調査研究報告書№144「支援困難と判断された精神障害者及び発達障害者に対する支援の実態に関する調査」障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門※1 玉虫色…あいまいであるということではなく、困難さのとらえ方はさまざまな視点があることを表しています※2 実践知…本文では、実践現場で生み出された、実際の支援にあたって適切な判断につながる知識としています発達障害者事例【心身機能】・新たな環境への不安感、緊張感の強さ・人間関係への不安感、緊張感の強さ・対人面でのストレスの感じやすさ・自信のなさ(自己肯定感の低さ)【心身機能】・自分の特性や病状についての理解の乏しさ・自信のなさ(自己肯定感の低さ)・感情抑制の難しさ【活動・参加】・職場での指摘や注意を受け入れることの難しさ・口頭のみの指示を理解することの難しさ・複数作業を同時並行することの難しさ・臨機応変な対応の難しさ・相手の意図・気持ちを汲み取ることの難しさ・生活のリズムの乱れ精神障害者事例図:障害別の困難要因(2割以上の地域センターで確認されたもの)1 はじめに2 地域センターへの支援要請の特徴3 支援困難事例への支援例28

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