働く広場2019年8月号
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働く広場 2019.8害者雇用担当として障害のあるメンバー(以下、「メンバー」)たちのコーチ役を務めている。さっそく倉庫内の一角で、モデム機器などにつなげるケーブルの仕分け作業が始まった。袋入りの未使用のものと使用済みのものが、次々に大きな箱に種類別に仕分けられていく。この日は、千葉県立柏特別支援学校流ながれ山やま分教室から実習生が1人来ていた。1年次に職場見学に訪れ、2年次には週に1回、計5日間の日程で実習に通ってくるのだそうだ。伍嶋さんが作業手順の確認などをしていると、伍嶋さんに笑顔でハイタッチを求めてきた男性がいた。大おお島しま啓けいさん(30歳)だ。6年前の入社時は数を数えることが苦手だったが、枠のなかに数字を書いたボードを使うなどして、10以上の数にも対応できるようになった。また、業務報告やミスが発生したときの対処方法も身につけたそうだ。この作業現場の班長を務める坂さか田た慶けい介すけさん(45歳)は、柏事業所で障害者雇用が始まった2009年に入社してきた。「以前勤めていた会社は、福利厚生が整っていなかったので、転職してきました」と教えてくれた。いまでは現場の業務全般をこなせるベテランだ。「ここはいい仲間がいて、みんなで協力して作業ができます。伍嶋さんは明るくて、たまにちょっと厳しいですが、頼りがいがあります」ちなみに坂田さんは今年、インセンティブ制度(※)で金一封をもらった第1号だ。出退勤や職能、伸びしろなどを部署のリーダーが評価した結果だという。そばで黙々と作業していた市いち島じま孝たか洋ひろさん(28歳)は、以前は現場で感情が高ぶることもあったそうだが、伍嶋さんいわく「少しずつ努力して、感情をコントロールすることができるようになってきた」そうだ。市島さんに話しかけると「仕事はむずかしくないです。働くことが好きです。家族も喜んでいます。いっぱい働いて、お給料をたくさんもらうことが目標です」と話してくれた。別の一角では、使用済みのACアダプターが無造作に詰め込まれた段ボールが積み上がっていた。さまざまな機種が混じっているため、ここで分別し、リサイクルするため工場に戻すのだという。この日は、地元の多機能型事業所(NPO法人あじさいの会が運営)から、施設外就労として週1回通ってきている6人が担当していた。箱に囲まれた狭い通路を忙しそうに動いていたのは、成なる島しま高たか文ふみさん(28歳)。伍嶋さんは「彼はアダプターの仕分け梱返送用伝票を封入する大島啓さん返品物を材料ごとにリサイクルするため、仕分けを行う坂田慶介さん箱のテープ止めを行う市島孝洋さん。発送業務ではていねいさも求められるアダプターが収められたコンテナを運ぶ成島高文さん数字の上に対象物を置くことで、数を数えることが苦手な従業員でも計数作業ができる※インセンティブ制度:業務の成果や実績に応じて給料や賞与などを変化させる制度のこと6

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