働く広場2019年8月号
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働く広場 2019.8包がとても速いんですよ。9時から15時までの勤務ですが、多いときは1日に70箱(2800個)分を処理します。派遣社員がフルタイムでこなす量の倍以上のスピードで作業をします」と太鼓判を押す。ここでの経験を活かして、ほかの企業に就職していく人たちも少なくないそうだ。メンバーのなかには現在、サポーターと呼ばれる従業員が2人いる。その1人である中なか村むら恵え美みさんは、足に障害があるため膝に補助器具をつけている。伍嶋さんからのすすめで2014年に障害者職業生活相談員の資格を取り「サポーター」になったそうだ。「現場を見まわりながら、毎日必ずメンバー全員と一人ずつ会話をするよう心がけています。仕事や日常生活のことも含めて普段と変わったところがないか、悩んでいるようなことはないか、様子を確認します。私自身は笑顔を大切にしています。メンバー同士にはライバル意識もあり、たまに意見のいいあいもありますが、仲裁したあと、それぞれから話を聞いています」気苦労も少なくない役目のようだが、「作業だけをやっていたときよりも、やりがいを感じるようになりました。最近も伍嶋さんがいない日にメンバーから『どうすればいい?』と聞かれ『少しは頼られているのかな』と感じています」と笑顔で話してくれた。中村さんは、季節によって足の痛みが悪化することがあり、1時間遅い出社のシフトにする時期もある。「勤務時間を柔軟に設定できて、本当にありがたいです」と中村さん。もう一人のサポーターである大森あゆみさんは、2017年に一般雇用枠で入社。チームメンバーと一緒に働く様子から「なにごとにも動じない姿勢を有する」と伍嶋さんから評価されての抜てきだった。大森さん自身、それまで障害のある人とかかわったことは一度もなく「障害にはもっと働くことがたいへんそうなイメージがあったのですが、逆に『こんなことも得意なんだな』と驚かされることが多いです」と話してくれた。いまは、自分が手を出さずにメンバー自身で作業をやり通せる方法を模索中だ。 職場は和気あいあいとした雰囲気だが「トラブルは日常茶飯事です」という伍嶋さん。派遣社員やアルバイトなども多く、従業員の出入りが激しいため、周囲とのトラブルが発生しないよう工夫をしているという。「例えば、障害のある従業員にふだん通り呼びかける場面を見てもらうことで、入社したばかりのほかの従業員に、障害のある従業員が社内で一緒に勤務していることや、それぞれの特性などを認識してもらいます」こうして周りの理解が進み、ほかの場所で何かトラブルがあったときもすぐに知らせてくれることが増えた。「本人の行動パターンのようなものを覚えてもらうと、それがナチュラルサポート(※)にもつながります」と伍嶋さん。注意だけでは解決しないこともある。手洗いに毎回15分かかるメンバーがいて、昼食時間にほかのメンバーがトイレに入れないなどの支障が出ていたケースでは、トラブルは日常茶飯事サポーターに抜擢された大森あゆみさん「笑顔を大切にしている」と話すサポーターの中村恵美さんお昼休憩に向かう中村さんを、率先してサポートする渡辺さん※ナチュラルサポート:職場の従業員による、障害のある従業員へのサポート7

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