働く広場2019年9月号
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働く広場 2019.9 コスモネットでは障害者雇用に特化した人事制度があるわけではないが、一部独自の賃金テーブルの設定と運用を通じて、さまざまな雇用形態に対応できる仕組みがある。採用時は原則パートナー社員(時給制)で、一定期間経過後に一定以上の評価を上げると契約社員(月給制)に登用される可能性がある。また、パートナー社員でも年1回の昇給時には評価によって差があり、年2回の賞与では、評価が高いスタッフと評価が厳しいスタッフの間では数万円以上の差も出るそうだ。契約社員を目ざすスタッフには、できている部分とそうではない部分を整理して伝え、順にクリアしていくよううながす。これまでに4人が契約社員になった。仕事の評価やフルタイム勤務などの要件、試験を乗り越えれば正社員登用の道もあり「将来的に正社員になる方が出てくることを、期待しています」と緑川さん。症状が改善し、障害者手帳を返還した後にそのまま在籍し、清掃管理者として働いている社員もいる。業務支援グループの関東における拠点で2013年に障害者雇用枠で採用され、清掃業務を担当していた当時55歳の男性は、働いている間に双極性障害(躁そううつ病)が寛かん解かいし、2年後には障害者手帳を返還。障害者雇用率にはカウントされなくなるため、男性からは「働き続けられるか」と相談されたが、引き続き勤務してもらった。処遇を引き上げるために緑川さんは清掃管理者を目ざすよう提案し、本人も努力して清掃管理者となった。定年を過ぎたいまは、嘱託社員として勤務を続けているそうだ。 蒲がま田だ浩ひろしさん(61歳)は、2013年入社で7年目。寝屋川市の社会福祉法人みつわ会にいたが、就職活動の結果、コスモネットに採用されたという。最初は店舗に配属されてバックヤードの業務を行っていたが、6年目にはApple製品の専門店「Cシー sスマートmart」に配置換えとなり、今年6月からは業務支援グループ事務所(京都)で勤務している。「店舗では、業務の合間に独学でエクセルの勉強をしていました。社内業務の大部分でエクセルを使用していましたから必要だと思ったのです。その結果、スキルを買われて﹃C smart﹄に移ることになりました。求められるニーズに合わせて自分自身も変わっていけたことで働き続けられたのかなと思います」と振り返る。もう一つ勤続できた大きな理由は、上司との円滑なコミュニケーションだと話す。「店舗勤務だったときは、上司とは日常的に顔を合わせませんでしたが、電話やLINE WORKS(ラインワークス)などで細かい連絡や相談ができたので、とても安心感がありました」取材陣が訪問した日、最初に出迎えて案内役を務めてくれたのは、安あ達だち明あき孝たかさん(37歳)。もともとは大阪府内の工場でプレス作業をしていたが、雑音に耐えられず半年で退社した。体調が戻って京都府庁で働き始めたが、2年弱で再び退職したという。「恵まれた職場でしたが、当時は自分に『働く覚悟』が足りませんでした。甘えがありました」と率直に明かす。その後は就労移行支援事業所でトレーニングを受け、「受けた仕事は時間内にやり遂げること、小さなストレスを受け流す方法など、働く姿勢について学べました」。それから約1年後にコスモネットに採用された。最初に配属された店舗ではバックヤードでデータ入力・棚卸作業などを2年ほど担当し、その後、業務支援グループ事務所(京都)に配置換えとなった。POP作成やパネル加工などの販売促進業円滑なコミュニケーション障害者手帳の返還後も取材時、蒲田浩さんは店舗で使用したデモ機の初期化作業を行っていた入社6年目の安達明孝さんは、伝票の確認など経理の仕事が増えてきましたと話す8

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