働く広場2019年9月号
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働く広場 2019.9務、最近では領収書や顧客向けキャッシュバックの確認などを行っている。「店舗では、多くの人が出入りする流動的な雰囲気に苦労しましたが、緑川さんが頻ひん繁ぱんに店に来て雑談をしてくれたので救われました。体調を崩して休むときには福田さんが『体調悪そうだったよね』といってくれて、見てくれていたのだなと安心しました」入社2年目の西にし村むら友ゆ里りさん(23歳)はPOP・チラシ・カード類の作成と印刷を担当している。実習中は経理や文書のPDF化などを手がけていたが、入社後にイラストレーターやパワーポイントなどの使い方を学んだそうだ。「私は細かい作業内容を頭で整理するのが苦手なので、いわれたことをメモにすることを習慣にしています。あと、わからないことや困ったことが起きたら先輩たちに聞くようにしています」と、笑顔で話してくれた。京都事務所で稼働する清掃チーム(2チーム計8人、うち知的障害5人、発達障害1人、健常者2人)は現在、近畿エリアで1日2~5店舗を回り、店舗内外の清掃から廃棄物回収、内装の補修、除草まで幅広い作業を行っている。スタッフの就業年数は1人が3年、ほか5人は7年となっている。清掃管理者を務める清し水みず政まさ宏ひろさんは「目配り気配りのきくスタッフもいて、私よりうまく確認してくれています」と話す。店舗側からは毎回、事後評価表が届く。最初のころは×がついた項目を見つけて落ち込むスタッフも多かったが、「何が原因だろうか」、「次はよい評価を目ざそう」などと前向きな姿勢へとうながした。一人ひとりに合わせたコーチングも大切だという。「作業内容を具体的に示すといったことだけではなく、本人がより興味を持っている部分を引き出しながら、仕事につなげていけるよう心がけています」はじめは清水さんに挨拶もしたがらないメンバーもいたそうだが、移動中の車内などで世間話を重ねながら信頼関係を築き、チームワークも強くなった。「いまでは店舗からも悪い評価はほとんどありません。しかし、慢心につながらないよう、ハードルを高くしていく必要もありますね」と清水さんは笑顔で話す。 コスモネットにおける障害者雇用の今後の方針について、緑川さんに聞いた。「大きな流れとしては、通信業界は何度目かの大きな変化の時期に来ていると実感しています。携帯料金などに関する国の動きの影響やキャリア自体の変化、業界の変化にも対応していかなければなりません。企業として生き残っていくためには今後、大小さまざまな変革が必要とされるでしょう。そのようななか、障害者雇用のあり方も変わっていくと考えています。状況によって、雇用状況などは厳しい局面があるかもしれませんが、常に将来を見据え次の展開を考え、その実現に向けて進んでいくだけです」2019年度の社内の経営方針発表会では、業務支援グループのテーマを「事業価値の向上」とした。具体的には、仕事の成果を可能なかぎり数値化し、業務パフォーマンスの高低や経費の妥当性を継続的に見ていくなかで、アウトプットの付加価値を高め、最終的には「経営への貢献に寄与できる業務へのシフトを進める」ことだという。最後に緑川さんは「業務内容の拡大も含め課題は山積みですが、将来的には、業務支援グループが『自分の足で立てること』を目ざしていきます」と力強く語ってくれた。通信業界の大きな変化のなかで清掃チームでは清掃作業のほか、修繕作業も行う(写真提供:株式会社コスモネット)近畿の清掃チームをまとめる清水政宏さん大型プリンターでPOPを出力する西村友里さん9

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