働く広場2019年9月号
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働く広場 2019.91991(平成3)年に設立された「株式会社コスモネット」は、京都市に本社を置く情報通信のサービスプロバイダーだ。全国の407店舗(グループ会社・パートナー社含む)で携帯電話の販売・サービス事業を展開し、法人向けの情報通信システム・ソリューション事業なども手がけている。従業員数2114人(2019年6月1日現在)のうち、42人が障害者スタッフ(身体障害9人、知的障害8人、精神障害13人、発達障害12人)で、障害者雇用率は2・36%に上る。コスモネットが本格的に障害者雇用に取り組み始めたのは2011年ごろ。多くの企業と同じように、店舗・従業員の急増にともなう法定雇用率の未達成がきっかけだった。業務管理統括本部業務支援グループ長を務める緑みどり川かわ徹とおるさんは、「障害者を雇用する企業としては後発組でしたから、身体障害の方ではなく、求職者数が増加している精神障害・発達障害のある方たちを積極的に採用することになりました」と経緯を語る。緑川さんは、もともと障害者雇用にかかわる機関に8年在籍し、当初はコスモネットを外部からサポートする立場だった。社内に設置された障害者雇用拡大プロジェクトチームに参画するうちに、新たな部署(現在の業務支援グループ)が立ち上がることとなり、それを機にコスモネットに入社した。緑川さんたちは、まず受入れ体制づくりのために社員の認識を変えることから力を入れた。「いずれ店舗に配属しなければ、障害者雇用は進められない」と考え、現場の管理者・責任者を集めた研修会なども開いた。スタート時の障害者スタッフ(以下、「スタッフ」)は7人(身体障害1人、知的障害2人、精神障害3人、発達障害1人)で、担当は事務業務3人、清掃業務3人、店舗業務1人に分けた。具体的な仕事の切り出しは、採用と同時に並行して進めた。「この新たな部署が、ひとつの部署として生産性を持つために何をすべきか」との方針で試し行こう錯さく誤ごしていったという。清掃業務は、作業内容のスキルアップを図りながらエリア拡大を進め、京都市内にかぎられていた対象店舗を、滋賀県・大阪府・兵庫県・奈良県、和歌山県まで広げた。事務業務は、管理本部内の補助業務として、各種帳票のチェックや分類、社内文書のPDF化からスタート。いまでは、業務支援グループ事務所(京都)や本社、事業所、店舗で合わせて23種類にまで増えた。具体的には、店頭で活用するPOP・チラシの作成、必要に応じて本社へスタッフを派遣するなど各種業務サポートの提供、店舗での在庫管理や商品などの陳列、エクセルを活用したデータ処理、プログラミングを活用した自動化ツールの作成、社内報「CNC通信」の編集・レイアウト作成業務などがある。店舗にスタッフを配置するときは、事前に本人の障害特性を含めた自己紹介資料を店舗管理者らに示し、指導や対応の際の参考にしてもらう。一方で社員やスタッフが現場で困ったときには、緑川さんや、同じく業務支援グループで主任を務め、企業在籍型職場適応援助者である福ふく田だ絢あやさんが相談窓口となっている。 入社時に本人に申し出るよう伝えている「合理的配慮」については、実習期間「後発組」からの積極雇用働きながら意識を変える「会社で働くこと」の自覚と実践をうながす個々のスキルを伸ばし「生産性」を向上正社員登用も見据えたキャリアアップ123業務管理統括本部業務支援グループ長の緑川徹さん主任で企業在籍型職場適応援助者の福田絢さん1POINT5

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