働く広場2019年10月号
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働く広場 2019.10NOTE 「株式会社いくせい」(以下、「いくせい」)は、知的障害者の雇用の場を確保し、自立した生活を送れるよう支援するために、1987(昭和62)年に兵庫県神戸市で設立されました。事業内容は、設立当時から主に屋外作業の園地管理・清掃業務です。現在は、リサイクルセンターの手選別作業、農業生産事業、さらには食品加工事業における弁当・焼き菓子製造、喫茶室運営、クリーニング業務、館内清掃などの屋内作業も含め、幅広く事業を展開しています。 知的障害のある社員の場合、加齢による体力低下が早くから見られ、40代後半から体力・気力が低下し、高齢化が一気に進んでいく傾向がみられます。そのため、園地管理・清掃業務の屋外作業では、夏の炎天下や冬の寒い時期は、高齢化が進んだ福祉就労社員(※)にとって、体力的に厳しい状況となり、同社の課題になっていました。 こうした課題を改善し、高齢化が進んだ福祉就労社員たちが一日でも長く働けるように、同社では「時短勤務導入」や「屋内作業への配置転換」を進めています。 屋内作業への配置転換の一環として、同社は2014(平成26)年に子会社の「KKいくせい株式会社」を設立。弁当・焼き菓子製造、喫茶室運営などの業務を委託しています。そして同社からKKいくせいに転籍する形で、高齢化した福祉就労社員が引き続き働くことができる仕組みづくりを行っています。両社の人数を合わせると福祉就労社員は234人で、全員が知的障害者です。 いくせいが抱える課題とその解決策について、総務部総務課長の藤ふじ原わら民たみ子こさんにお話をうかがいました。 「園地管理で働く福祉就労社員のなか働く障害者の高齢化 前回、前々回から引き続き、高齢化した障害のある従業員の課題と、その対応を進める企業を取り上げていきます。 今回は「雇用継続への取組み事例(知的障害編)」として、「株式会社いくせい」(兵庫県神戸市)の事例を紹介します。高齢化により、屋外の作業が厳しくなる屋外作業から屋内作業に配置転換Vol.4NOTE雇用継続への取組み事例(知的障害編)神戸市にある「しあわせの村」では、ほぼ全域の清掃業務を請け負っている知的障がい者が仕事を通じて社会と交流し、社会貢献していくことを目ざす同社のイメージいくせい設立当初から受託している「須磨海浜水族園」の清掃業務※ 福祉就労社員:株式会社いくせいでは、知的障害のある社員を「福祉就労社員」と呼んでいます障がい者雇用自然と環境地域共生食と健康10

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