働く広場2019年10月号
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働く広場 2019.10的なサポ―トが必要不可欠となります」と藤原さんはいいます。 「現場には必ず福祉就労社員を支援する社員がついていますので、健康面のチェックはもちろん、精神面で不安定なときには相談に乗ってもらえます。また、数年前から同社では『ジョブコーチ制度』を取り入れています。支援社員がジョブコーチ(企業在籍型職場適応援助者)(※)を兼務していますので、声かけをしたり、業務や体調面について把握することが可能です」 福祉就労社員が一日でも長く働くためには、今後、ジョブコーチによる個別支援が重要な鍵となるようです。「ジョブコーチ制度」が障害者雇用の現場に広がれば、社員の高齢化が進んだ場合も適切な配置転換ができるなど、スムーズな対応が望めるのではないでしょうか。は以前にクリーニング業務の経験があったこともあり、すぐに元気を取り戻し、再び働く意欲がわき、重要な戦力となって働いてもらった経緯があります。自身の仕事がはかどれば、ほかの社員からも期待されます。また、少人数でやっていますので、『自分の担当分はやらなければ』という責任感も出てくるようです。自身の得意な分野で経験もあったので、より前向きに業務に取り組めたのだと思います」 また、別の事例についてもうかがいました。 「以前、ケーキ屋さんでの就労経験があった福祉就労社員の事例です。弊社は3年前に『ボヌール・ヴェール』というカフェレストランを立ち上げました。その方の経験を活かそうと、彼が54歳のときに弁当製造からこのお店に配置転換してもらいました。現在、洗い物のすべてを担当するなど、活躍してくれています。彼は『ここの仕事が自分の天職だ』と、毎日活き活きと働いています」 さらに藤原さんは続けます。 「60歳を過ぎて園地管理の業務を行っている福祉就労社員がいます。彼は、就配置転換により業務への意欲が増すジョブコーチによる個別の支援が重要に、『脚が痛い』、『腰が痛い』と話している社員が多く見受けられるようになりました。そこで配置転換に備え、転換後の業務に慣れるよう時間をかけて実習訓練を行っています。60歳以上の福祉就労社員で体力低下が著しい方は、弊社と子会社を合わせて6人ほどいます。フルタイム勤務は厳しいため、短時間勤務への移行や、屋内作業へ配置転換を行っています」 さらに具体的な事例も話してくれました。 「60歳の福祉就労社員で『園地管理の仕事はもう続けられないかな』と弱気になっていた社員がいました。ちょうどそのころ、子会社で新たにクリーニング業務を取り入れることとなり、配置転換を提案しました。屋内作業のうえ、彼女労時間が短くなったことで、たいへん元気になりました。また、転籍した職場では目的地まで車による送迎があるので、身体がとても楽になったようです。彼は『65歳を過ぎてもまだ働きたい』といっています」 このように、屋外から屋内作業への配置転換だけでなく、適材適所に配置転換することで、高齢化が進んだ福祉就労社員の労働意欲が刺激され、リフレッシュする場合もあるようです。 「弊社は、子会社も含めて事業所が23カ所あり、業種も多種多様です。就労している職場での勤務継続がむずかしい場合、ほかの事業所で経験してもらい、そこで適性が合えば転籍が可能です。事業所が多い分、選択肢も多様であるという利点があります」 同社は、就労業務に関する個別面談を定期的に行っています。高齢化による体力低下が顕著な場合、今後どのような業務に配置転換すべきか、本人の希望をヒアリングしながら、ご家族などにも来社いただき、三者面談を行っています。「就労状況はそれぞれですが、保護者やご家族の方の就労に対する理解と、精神いくせいが運営する「にこにこキッチン」。日替わり弁当などを提供している薬膳ランチが楽しめる「ボヌール・ヴェール」※ 企業在籍型職場適応援助者:企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう、さまざまな支援を行う人11

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