がる」と考えるようになった。同病院では3人の障害者を雇用しているが、障害のある方の自立支援は病院だけでは背負えない課題であるため、リハビリテーションを中心とした地域医療の取組みをさらに発展させてきた。デンマークで学んだHヒュッゲygge(※)をコンセプトとした「久留米市やまもとのまちづくり計画」を立ち上げ、その具体的な取組みである五つの事業(左上資料)を、かぶと山エム・エスに委託している。病院に到着すると、そこには電動車いすに乗った齊場さんが、私たちを玄関口で出迎えてくれた。今回、齊場さんの紹介で取材させていただく井い手で公こう正せいさん(30歳)について紹介したい。大学を卒業した井手さんは、東京都内の病院に作業療法士として就職。25歳のときに車で友人を空港まで送った帰り、交差点で信号待ちをしていた際、速度違反で交差点に進入してきた中型トラックに後ろから追突された。全身打撲と13本の骨折で救急病院へ搬送。2日間意識不明、3日目に意識を回復し奇跡的に一命は取りとめたが、脊せき髄ずい損傷による両下肢機能全廃、身体障害者1種2級の重度障害者となった。自立への歩み働く広場 2019.10地域コミュニティCafé「Landsbyen」ワンルームリフトケアシステムの部屋就労継続支援B型事業所「Symbi」リハビリテーションシェアハウス「Grey Heron」「久留米市やまもとのまちづくり計画」五つの事業【Area2 就労・元気支援棟】3 就労継続支援B型事業所「Sシンビーymbi」 利用者登録10人、地元野菜の袋詰めなどの作業を実施。スタッフ4人。 久留米リハビリテ-ション病院との連携により、医学的リハビリテ-ションも含めた、就労に必要な知識・能力の向上を目的とした訓練やその準備、就職活動の支援を行っている。*Symbi/シンビー:英語で「共生」という意味の「symbiosis」から4 高齢者通所型元気施設「R」 介護予防・日常生活支援総合事業、スタッフ2人。 基本的に身体介護を必要としない、65歳以上の高齢者を対象に心身の機能低下防止、生活支援サ-ビス事業を主に提供している、介護予防型デイサービス。5 地域交流活動「オリーブ」 多目的地域交流スぺース。※Area2就労・元気支援棟は、1フロア-を3つに分けて、3~5の利用者や関係スタッフが自由に交流できるようにしているのが特徴【Area1 生活・交流支援棟】1 地域コミュニティCafé 「Lランスビンandsbyen」 週2日(火、木曜日)営業、スタッフ4人。 病院関係者や利用者や家族だけでなく、地域の方々の利用も含めてさまざまな人たちの交流を目的とするカフェ。*Landsbyen/ランスビン:デンマ-ク語で「村」という意味2 リハビリテ-ションシェアハウス 「Gグレイrey Hヘロンeron」 Grey Heronは、就労継続支援B型事業所「Symbi」の利用者、久留米リハビリテーション病院の外来患者の社会復帰を支援することを目的に建てられた賃貸アパ-ト。全7部屋(1部屋はワンル-ムリフトケアシステム)、スタッフ1人(管理人)。特に、脊損、片麻痺など重度の障害のある人が利用できるよう、リフトや高さ可変キッチンなどの装置を備えている。 永住型、終ついの棲すみ家かとならないよう、利用期間を定めた契約型としている。*ワンル-ムリフトケアシステムは、最重度の障害があっても他者に抱えられないで、リフトや高度意思伝達装置を使った自立生活を送り、本人が「できること」を広げることを目的にしている。*Grey Heron/グレイヘロン:英語で「あおさぎ」という意味エリアエリア※ Hygge(ヒュッゲ):デンマーク語で「人と人の触れ合いから生まれる豊かな心地よい雰囲気」という意味22
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