働く広場2019年10月号
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働く広場 2019.101893(明治26)年の創業から126年を迎える「株式会社ツムラ」は、漢方薬で知られる製薬企業だ。売上げの95%超という医療用漢方製剤は、国内市場のシェア8割以上にのぼる。ツムラはこれまで障害者雇用の方針として「共に活きる、共に活かす」を掲げ、特例子会社をつくらず、職場点在型の雇用を進めてきた。人事部人財育成センター人財企画グループのグループ長を務める児こ平だいら雄ゆう平へいさんが説明する。「点在型の雇用を実現するには、職場における従業員の自立が欠かせません。隣にずっとジョブコーチがいるわけにはいきませんから、同僚たちもOJTや日々の声かけを意識しながら業務を進めています。『協働・対話・自立』をキーワードに、ともに働くことを目ざしてきました」障害のある従業員は、本社、研究施設(茨城県)、静岡工場、営業所など計22部署に1~11人ずつ配属されている。従業員数2475人のうち障害者は62人(身体障害47人、精神障害13人、知的障害2人)、障害者雇用率は2・85%︹2019(令和元)年7月現在︺にのぼる。 身体に障害のある従業員30人超が在籍する7階建ての本社ビルは、ハード面の環境整備を充実させてきた。1、2階に多目的トイレを備え、1階の受付脇のトイレにはオストメイトも完備。必要とする従業員の採用に合わせて追加で設置したものだが、訪問客も使用できる。各フロアとも車いすで自由に移動しやすいよう、余裕のあるデスク配置と廊下になっているほか、「廊下には物を置かない」ことが鉄則だ。フリーアドレス(※1)を目ざしていることもあり、フロア全体が見通しのよい空間となっている。業務書類や備品などが入っているキャビネットの高さは低めに、分別ごみ箱もそれぞれ上下二段式にしてあるため、車いすユーザーも使いやすい。共有スペースにあるソファも、車いすから移動しやすい高さに設定されている。共に活きる、共に活かす廊下には物を置かない「協働・対話・自立」をキーワードに職場点在型の雇用を進める面接前のナビゲーションシートやテストで、マッチングを見極める3段階の正社員登用制度で、無理のないキャリアアップをうながす123人財企画グループでグループ長を務める児平雄平さんオストメイト対応トイレは、荷物置き場なども設置され、使い勝手がいいオフィス内の廊下は広く、キャビネットの高さも配慮されている1POINT上下二段式のごみ箱は、車いすユーザーのみならず、だれでも使いやすい高さだ※1 フリーアドレス:従業員が固定の席を持たず、業務や状況に 応じて空いている席を使うワークスタイル5

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