働く広場2019年11月号
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働く広場 2019.11NOTE 障害者雇用の推進により、障害のある従業員の職場定着の動きが浸透する一方で、障害のある従業員の「高齢化」への対応に取り組みはじめた企業があることを、連載でお伝えしてきました。 第1回から最終回までを振り返り、箕みの輪わ優ゆう子こ編集委員は「障害のある社員の、加齢による体力低下などの変化に対応し、活躍し続けることができるように環境を整えようとされている各社の取組みは素晴らしいものだと思います。一方、障害者雇用そのものがケースバイケースであり、『高齢化』を障害者共通の特別な課題としてはとらえていない企業も多く存在すると思います」と話します。 ご自身も障害者の採用にかかわる立場から、次のように話してくれました。 「現在、キャリア採用の市場では、50歳を超えても力のある方が求められるようになってきています。(表)これは社会全体の流れで、年齢を重ねることによりつちかわれてきた経験や技術力、知識力、ノウハウが評価されているのではないでしょうか」 事業者は、障害のある従業員の高齢化に対応するため、工場内の別の業務あるいは屋外作業から屋内作業へと配置転換を行うことがあります。そのような対応について、箕輪委員は次のように話します。 「本人の状況に応じた負担軽減の配置転換という観点ももちろん大切ですが、『働きにくい』という社員の声を機に、『その作業は本当に必要なのか』、『ほかの手段はないか』など、抜本的な〝改革〞をすることが、企業にとってもより有益なことにつながっていく場合もあるのではないでしょうか」 さらに、障害のある従業員の実績や技術を活かして、活躍してもらうために企業が行うべきことを、このように話してくれました。「年齢による身体能力の変化もありますが、そもそも障害には個人差があるため、それぞれの能力が発揮しやすく、成長できるように環境を整えることは、事業者のなにより大切な役割です」と箕輪委員。また「環境を整えることが障害のある社員の『能力を向上させた働く障害者の高齢化働く障害者の高齢化の現状事業者の役割最終回NOTE中高年齢層の障害者の雇用継続について 7月号から4回にわたり、働く障害者の高齢化をめぐる状況と対応にフォーカスし、いくつかの事例を取り上げてきました。最終回となる今回は、「働く障害者の高齢化」に関し、どのような展望が考えられるかについて、箕輪優子編集委員にお話をうかがいました。 また最後に、第1回から最終回までを振り返る「まとめ」を掲載しました。横河電機株式会社人財センターで採用育成にたずさわる箕輪優子編集委員年齢階級別転職者及び転職者比率の推移15~24歳25~34歳35~44歳45~54歳55~64歳65歳以上2014年5576674140122018年637865554920■年齢階級別 転職者数(万人)15~24歳25~34歳35~44歳45~54歳55~64歳65歳以上2014年11.36.54.43.0 3.51.82018年11.37.0 4.53.64.32.3■年齢階級別 転職者比率(%)出典:総務省統計局「平成30年労働力調査年報」直近の5年間で45歳以上の人数および比率が増加2018年の傾向として、45歳以上を採用する企業が増加し、転職年齢の上限は上昇傾向にある表10

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