働く広場2019年11月号
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に警備員指導教育責任者を選任しなければならないとされています。選任された者は、警備員の指導および教育に関する計画を作成し、その計画に基づき警備員を指導して教育する業務などを行います。こうした情報をもとにして、全日警サービス長野の代表取締役社長である浅あさ妻つま豊ゆたかさんにお話をうかがいました。(1)会社の方針同社は1993年に開業し、警備2号業務を中心に県内外に9事業所を展開しています。「確かな実績と高度な技術」、「多様なニーズへの対応」、「人材育成…『人』は財産」の三つをモットーとしています。そのなかの「人材育成」においては、国家試験の有資格者となるための社内教育に力を注いでいます。それぞれの事業所ごとに行う現任教育に加えて、本社で集合教育をして国家試験の受験準備も行っています。同社はこうした社内教育の充実を通して、「学ぶ」組織風土の構築と維持を目ざしています。(2)障害者の雇用警備業の人材は景気に左対処方法がわからないことが多いため、本社はそのフォローを継続して行っています。また、娘が介護関連の仕事に就いていることもあって、彼女に教わりながら、私自身もフォローしています」と浅妻さんは話してくれました。さまざまな障害者を採用していることは、中小企業では非常に珍しいとのことですが、事業の拡大を目ざすための人材確保という流れのなかで、自然と増えていったそうです。また、助成金を活用しながら、必要な配慮を行ってきましたが、障害者雇用率は意識したことはないとのこと。中小企業であるが故の、緻ち密みつな研修と人材管理の体制のよさが、今日のさまざまな障害のある社員の活用に機能しているといっていいでしょう。(3)業界の動向と将来像警備業界は、警備員の資質が問われる時代に入ってきています。そのため、同社では常日頃から研修を通して資質の向上を目ざしています。特に、現場で対応するための理論武装として、関連する法律についても学習しています。また、業界全体の社会的地位を高めていくためには、現場に警備員を送り出す直接的費用のほかに、人材育成や安全管理費などの整備費用も見積り、予算に計上していくシステムが望ましいと考えられます。右されます。景気がいいときは警備に対する需要は高いのですが応募者は少なく人手不足になり、他方で、景気が悪くなると人が集まります。また、雑踏警備や交通誘導は屋外作業が中心ですから、夏は暑く冬は寒い、雨だろうと雪だろうと勤務しなければなりません。そのため、体力的にはつらい現場です。そのうえ、通行人の方々を中心に近隣のさまざまな状況に気を遣うため、精神的にも負担のある職場です。このような背景のもと、同社の社員全体の特徴を挙げると、高齢者が多くを占め、平均年齢は50代後半です。その実績が認められ、2017年度高年齢者雇用開発コンテストの高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞を受賞しました。また、同年度障害者雇用優良事業所等表彰の機構理事長表彰努力賞も受賞。社員のなかには、4人の難病者(クローン病2人、ベーチェット病1人、右大腿骨頭壊死症1人)のほかに、11人の障害者(身体障害6人、精神障害4人、知的障害1人)が、障害者施設や障害者就業・生活支援センター、そしてハローワークなどの紹介で入社しています。「障害者に対する支援や配慮は原則、本社で最初のフォローをした以降は、各事業所に委ねていますが、現場の所長や指導者は精神・発達障害のある社員への会社の方針と警備業界の動向働く広場 2019.11株式会社全日警サービス長野代表取締役社長の浅妻豊さん22

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