働く広場2019年11月号
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働く広場 2019.11る作業で、パソコンの画面に表示された架空の社員一名分の情報をもとに、必要な項目の値を計算したり、必要な数値を別添の資料中に特定したりして、指定されたセルに適切な数値を入力する作業です。 (3)MWS「文書校正」の特徴  「文書校正」(図2)は、事務作業の領域に属する作業で、コラム・事務文書・報告書の「初校」を「原稿」と照らし合わせて確認し、誤りがあればサブブックに記載された校正記号を用いて修正の指示を書き込む作業です。また、サブブックとは別に提示される報告書作成規定や文字ポイント表を用いて、体裁の確認を行う作業もあります。 (4)MWS「社内郵便物仕分」の特徴  「社内郵便物仕分」(図3)は、実務作業の領域力の高い対象者の認知的・行動的特性やエラー傾向、その方の強みなどを把握できるようになりました。また、「指さし」や「見直し」などの、作業をするうえでの自発的な工夫が多く見られており、その方が日常的に用いる工夫の把握や、既存課題で習得した補完方法が他の場面でも活用できているかどうかの把握ができると考えられます。  一方、訓練版では、従来の「作業遂行力の向上」や「作業遂行及びストレス・疲労に対するセルフマネジメントスキルの確立」という機能が新規課題のより複雑な作業においても確認されたことに加え、既存課題に比べ、よりリアルな作業であることから、「訓練に対するモチベーションの維持」「自己の特性への気づきと事業所との調整事項の明確化」といった機能が確認されています。   新規課題は、ここまで述べてきたように、認知的な負荷が高いワークサンプルとなっています。そのため、疲労も生じやすく、認知機能の低下がうかがわれる方に対しては、一定時間注意を持続できる程度に回復しているなど、実施のための要件が考えられます。そのほか、モチベーションの維持には工夫が必要であること、過集中の方への対処などいくつかの留意事項があります。  詳細については、当研究部門ホームページ掲載の『障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2)―ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発―』(調査研究報告書№145)(※)でご確認ください。 に属する作業で、架空の会社に届いた郵便物を、サブブックに収載された「仕分のルール」「組織図」「社員名簿」「社員名簿あいうえお索引」を適宜参照して宛先の部課などの仕分ボックスないしフォルダーに適切に仕分ける作業です。サブブックに収載された「仕分のルール」には、さまざまな場合の例外的な対応方法についても書かれています。    この研究では、新規課題を一般の成人の方、また障害のある方に対して実施した結果から、新規課題について、次のような機能があると考えています。  簡易版では、作業がより複雑になったことにより、既存課題では把握できなかった作業遂行※ 調査研究報告書No.145は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku145.html からダウンロードできます◇ お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp) MWS新規課題の留意事項 4MWS新規課題で強化・追加された機能329図2 MWS「文書校正」の課題例※ 課題は開発中のものです図3 MWS「社内郵便物仕分」の使用物品※ 物品は開発中のものです

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