働く広場2019年11月号
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働く広場 2019.11カードを書く。多い月では120枚ぐらいになる。「モチベーションが下がっているときに感謝の言葉をもらうと元気が出る」、「カードがあることで、助けてほしいといいやすくなった」という声も聞かれるそうだ。【ステップアップシート】3カ月ごとに個別で目標を設定。それぞれの強みと苦手を共有し、職場内で強みを活かし合い、苦手をカバーしながら、各自のペースでスキルアップを図っていく。【改善提案】日ごろの業務で「わかりづらい」、「やりにくい」と感じたことについて改善案を自由に申請してもらう。出てきたものは翌日のミーティングで話し合い、認定されたものは即実施。月ごとに優秀提案の表彰もしている。【職場実習】職場実習生を積極的に受け入れている。実習生のトレーナー役を務める従業員が、初心に立ち返り、自分の成長ぶりも確認できるからだ。就労移行支援事業所からの実習生を1回2人まで、1~2週間受け入れているが、ほぼ毎週実習生がいるほどの人気ぶりだ。 業務上のさまざまな工夫と並行して、従業員の体調の「セルフケア」も重視している。まず入社時にはあらかじめ「職場や仕事に関する相談は私たちが受けつけます。体調については医療機関に、プライベートの問題は支援機関などに相談してください」と伝えている。実際の線引きはむずかしくても、本人に自覚を持たせることが大切だという。こうした方針を明確にしたきっかけは、以前、ある従業員を「職場に依存させてしまった」苦い経験があったことだと前山さんは明かす。「なんでも相談してほしい」と伝えて安心させるつもりだったが、相談時間は長くなり、求められる配慮もどんどん増え、体調は逆に悪化。出勤後に休憩室に行ったきりになる日々の末に休職となった。通院同行もしていた前山さんは「プライベートとの線引きがあやふやになり、働くことへの意識も弱めてしまった」と振り返る。オーシャンでは従業員向けに、四つのセルフケアをうながしている。一つめは「状態把握」で、日々の自分の状態を知り、働ける状態をある程度維持することだ。具体的には川崎市が作成した「KーStep(※2)シート」を活用している。自分の状態を言語化するためのツールで、記述の自由度が高いことと本人が自己分析できる点がいいという。必要と思われる社員に記入してもらい、その日の配慮や対応につなげている。四つのセルフケア作業内容とかかった時間をタイマーで計り、記録することでおのずと創意工夫が芽生える感謝を伝えたい同僚への「ありがとうカード」には、カラフルなもの、イラスト入りのものなど、個性が現れている事業所内では、業務に合わせて自由にデスクを移動し作業にあたる事業所の壁面には、チャンスノート、改善提案の取組みなどが掲示されている※2 K-Step:Kawasaki Syurou TEityaku Program。精神障害者など体調管理に課題を抱えている方の就労定着を図るためのプログラム7

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