働く広場2019年12月号
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働く広場 2019.12締しめ固かため装置で供試体に圧力をかけ仕上げる技術研究所での雇用推進を図る、所長の田た口ぐち仁ひとしさん管理本部総務人事部長の佐藤栄一さん供試体は砂利とアスファルトを混ぜてつくる。ミキサ混合器から取り出し、混合物の温度を測る冷えないうちに供試体を型に収め成形する新潟県新潟市に本社を置く「福田道路株式会社」は、全国各地で一般の道路や高速道路などの舗ほ装そうを手がけている。現在は障害者雇用率が3%を超えている同社だが、2014(平成26)年までは未達成だった。同年、管理本部の総務人事部長に就任した佐さ藤とう栄えい一いちさんは、「社会基盤をになう会社が、法定雇用率が未達成なのはおかしい」という経営トップの強い考えのもと、積極的に障害者雇用に取り組み、現在16人の障害のある従業員(精神障害9人、知的障害2人、身体障害5人)が活躍している。建設現場では重機が稼働するなど、危険が多いとの心配があり、現在のところ障害のある従業員が働く場は、本社や研究所が中心となっている。安全・安心な道路をつくるための新技術開発や材料開発などを行う技術研究所では、5人の障害のある従業員が働いており、“なくてはならない貴重な戦力”となっている。そのなかの一人、細ほそ谷や晃こう誠せいさん(18歳)は、特別支援学校を卒業し、今年4月に入社した新入社員だ。取材時の盛夏のなか、汗だくになりながら強度試験用の供試体(※1)を製作する細谷さんは、「仕事を覚えるのはたいへんです。いまは先輩たちを追いかけるので精一杯です。将来は現場管理者になりたい」という。そんな細谷さんがいま夢中になっているのが、特別支援学校(高等部)在学中に始めたバスケットボールだ。幼いころから身体を動かすことが大好きだった細谷さんは、めきめきと上達し、新潟県知的障害者バスケットボールの代表チーム「新潟ライジングサンズ」の選手として活躍している。「もっと練習して実力をつけたい」と語る細谷さんは今春、知的障害者バスケットボールの全日本育成練習会に招集された。仕事では現場管理者に、バスケットボールでも日本代表選手にと、細谷さんの夢はさらに広がっていく。※1 供試体:強度・耐性など各種の性能試験のために、規格に基づいて作成された試料16

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