働く広場2019年12月号
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は﹃できなかった﹄と自己評価する。そこで、即時評価(その場でほめる)を教員に周知しています。学校時代の学びは大切であり、学校と外(地域社会)で、同じ評価が返ってくると安心する。環境を整えられれば、働ける人も多いのです」と利岡先生はいう。また、不登校の生徒にも支援を怠らない。面談をすると「勉強したい」というので、自宅学習の機会をつくり、学習支援をして家庭訪問も行った。その生徒は卒業式当日も参加できなかったため、その日の午後に校長室で卒業証書を渡したという。穏やかに、しかし熱く語る利岡先生の話からは、一人ひとりの生徒の願いをていねいに受け止め、その環境を整えることで、生徒のよさを引き出すための配慮や工夫をしていることがうかがえる。 同校の「高知みかづき分校」は、高知市内に2011(平成23)年に開校した。まずは教頭の竹たけ内うち英ひで貴たか先生と、進路指導主事の藤ふじ本もと信のぶ之ゆき先生にお話をうかがった。同校は特別支援学校入学生の増加にともない、高等部単独設置の分校として開校し9年目になる。1学級8人、1学年ナーズ﹄(※1)を締結し、外部の専門家を活用しながら、生徒と先生方が学校内・外で作業の質を高めるために学んでいます。本校でも、地域との交流に重点を置いた取組みを行っています」と校長の利岡先生は話す。地域交流という点では、高齢者施設やリサイクル活動で地域とのつながりを進めている。近隣の神社の行事に参加し、作業学習などで生産した竹ちく炭たんや野草の入浴剤の販売などをする生徒や、PTAの出店によって、学校の存在が幅広く知られるようになってきた。地域とつながり、交流を継続していくことが大切と考えている。全児童・生徒数は113人で、そのうち寄宿舎の利用者が52人いる。小学部から入舎している児童もおり、将来の自立に向けて生活に必要な力を学んでいる。自宅から通学している多くの児童・生徒は、スクールバスを利用しており、自力で通学する生徒は、交通事情の関係もあり数人のみだ。「本校では、寄宿舎から自宅へ戻り通学する生徒もいます。1カ月間通学することができたら自宅へ戻る。こうして生徒が目標を持つこと、それを周囲の大人が応援することが大切だと考えています。企業などへ実習に出ると、作業ができていても自己肯定感が低いため、生徒「高知県立日高特別支援学校」は、1969(昭和44)年に開校し、昨年、創立50周年記念事業を行った。知的障害のある児童・生徒を対象とした小学部、中学部、高等部の一貫教育を行っている学校である。学校は小高い山の上にあり、寄宿舎も併設している。校長の利とし岡おか徳のり重しげ先生と教頭の安あん東どう恵え美み先生にお話をうかがった。「先生方の意識は高く、職業教育の知識や技術を自分が覚えて生徒に伝えるようにしています。職業教育に特化した高等部だけの学校として開校した『高知みかづき分校』では、地元の企業や専門学校と﹃ジョブ・サポーティング・パート地域に出かけ、地域に知ってもらうプロから学ぶ、地域で学ぶ働く広場 2019.12高知県立日高特別支援学校高知県立日高特別支援学校校長の利岡徳重先生(左)と、教頭の安東恵美先生(右)地域と連携した学習内容の充実~プロから学ぶ~雇用企業および事業所とのネットワーク就労してからの学び、雇用してからの育成123POINT※1 ジョブ・サポーティング・パートナーズ:「物流実務」、「環境サービス」、「フードビジネス」の各分野で、企業や専門学校の専門スタッフによる、  職業自立に 向けた専門的な知識や技術の指導を受ける取組み21

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