働く広場2019年12月号
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す。見学後のみなさんとの会話のなかで、学校時代にダンスが上手であったことが話題となり、会社の「よさこい祭りチーム」に入りたいと思っていたことがわかった。旭食品の「よさこい祭りチーム」は高知では有名な強豪チームだ。中平さんの仕事と「よさこい」が、これからの目標となった素敵な見学訪問であった。次に、安東先生の案内で、1970年開校の「高知大学教育学部附属特別支援学校」を訪ねた。校長の蒲が生もう啓けい司じ先生、副校長の杉すぎ元もと美み栄え先生、「菓子工房hホッコocco sスイーツweets」店長を務める谷たに亜あ由ゆ美み先生からお話をうかがった。まずは、高等部の作業学習のひとつとして運営しているお店「hocco sweets」についてお聞きした。2014年秋にドイツ菓子を提供するお店としてオープンし、いまでは地域住民との交流の場にもなっている。また、教員以外に、一般スタッフ(接客レジ1人、製造2人)を雇用し、生徒・教員と一緒に働くお店になっているところが特徴である。一般スタッフとして、障害者雇用枠で卒業生が2人働いているところも先進的である。こうした環境のなかで、生徒たちは緊張感を持って学習している。教育目標は管理統括本部人事部人事課課長の肘ひじ井い由ゆ希き子こさんにお話をうかがった。旭食品は卸売業がメインであるが、地域の生産品である柚ゆ子ずなどを使った加工食品の製造でも有名な企業である。高知みかづき分校卒業生の中なか平ひらカンナさんは、入社2年目。同社物流倉庫の1階で働いている。肘井さんによると、中平さんは「根は素直で恥ずかしがり屋。特定の人とは話せるが、初めての人に対しては話しかけづらそう」とのお話。最初は一緒に食事をしたり、コミュニケーションを取るように心がけたそうだが、取材したころには、同じ部署の3階フロアの女性社員に手を握って応えるなど、スキンシップでの交流ができるようになっていた。担当上司であるセンター長の田た中なか修おさ己みさんによると、最初は入荷作業から始め、その後出荷作業を覚えて、商品知識が増えたところで、2年目からは「荷合わせ(パソコンによる個口表の作成)作業」に入った。「本人が仕事を覚えたことで、ほかの人に別の作業を任せることができるようになり助かった」とのこと。荷合わせ作業は1日あたり3時間ほどの作業。パソコンは学校時代から練習して身につけたとのことであった。「自慢できることじゃない」と中平さんは遠慮がちにいうが、上司は「間違わないことが会社の信頼性を上げている」と話職先を考えていたが、物流を含めて選択肢を広げて考えたところ、こちらの職場を選択することになった」とのこと。八木さんによると、「最初は仕分け作業から始まり、次は各エリアごとに作業量や種類がだんだんと増えてくる」そうである。「任せられる仕事が増えることは会社にとっても大切なことです。通勤は、2人とも自転車で、吉松さんは約45分間かけて通勤しています。卒業時よりも身体が引き締まってきたようです」と八木さんは話す。中川さんによると「2人とも嫌な顔をしているのを見たことがない」とのこと。また、2人が地域で活躍したエピソードを紹介してくれた。「最近、近隣の食堂でボヤ騒ぎがあり、2人は先輩たちと一緒に消火活動を行ったそうです。﹃初期消火で済んだのは、日ごろから練習していたおかげだと思う﹄と話してくれました」という。中川さんは、「会社としても、多様な方たちが働けるように対応していかなければいけない。2人は貴重な戦力なので、希望を聞きながら長く働いてもらいたい」と話してくれた。 次に、旭食品株式会社の本社を訪問、「旭食品株式会社」を訪ねて本物から学ぶ、プロから学ぶ働く広場 2019.12旭食品株式会社の人事部人事課課長を務める肘井由希子さんパソコンで個口表の作成作業をする中平カンナさん(手前)。その作業を見学する原智彦編集委員(奥)24

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