働く広場2020年1月号
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働く広場 2020.1からの来客があります」など、忘れがちな情報も目につきやすく全社員に役立っているそうだ。聴覚障害のある社員に話を聞いてみた。宮みや副ぞえ由ゆ佳かさん(25歳)は、大学卒業を前にハローワークを通じて2016年に入社。所属するシステムソリューション部システム運用1課では、データ入力などのパソコン業務を任されている。職場の工夫については「少しでも情報があった方が、こちらとしても助かります」という。九州地理情報での仕事もふり返ってもらった。「この会社では、さまざまな障害のある人とかかわることができますし、年齢の幅が広いので、人生の先輩ともいえる人たちと仕事ができます。私も助けてもらうばかりではなく、『できることはないですか』と、こちらから聞くようにしています」ITクリエイト部ビジネスサポート課のデスクでパソコン操作をしていた車いすユーザーの沖おき 里り緒お奈なさん(25歳)は、高校卒業後の2012年に入社した。通勤はバスと電車とバスを乗り継ぐため2時間近くかかるが「会社に行くのが毎日楽しいので、苦ではないです」と笑顔を見せる。通勤ラッシュと逆方向なのが幸いで、バスの運転手さんや電車の車掌さんとも顔なじみだそうだ。仕事は、イラストレーター(※3)を使った名刺作成や地図作成、電子化された契約書の検査作業などを担当。最近は社内報に載せるイラストも任されるようになり、デザインの勉強もしているという。「職場では、周囲の人たちがごく自然に、私のできないことをサポートしてくれるのがありがたいです。会社での一番の楽しみは、昼休みに仲よしの同僚と一緒に、お弁当を食べておしゃべりする時間です」もう一人、車いすを利用する男性社員に話を聞いた。野の中なか鉄てっ平ぺいさん(41歳)は2010年、中途採用で入社した。もともと自衛隊員だった野中さんは、20年ほど前に交通事故で頚けい椎つい損傷の後遺症を負い、車いすユーザーとなったという。4年にわたるリハビリを経て福岡の実家に戻り、その後、地元の大手量販店の売り場案内係として5年ほど働いたが体調を崩し退職。次の仕事を探していたとき、九州地理情報が福岡県から委託されて行っていた、障害者向けの職業訓練に参加した。「10カ月間の研修で、ビジネスマナーからワード・エクセルなどのパソコンスキル、業務上の応用技術までみっちり学べました」システム運用2課で地図の編集作業などにたずさわっている野中さんは、「いまの職場は一人ひとりの状況に合わせた仕事の割りふりをしてもらえるため、とても働きやすい」と話す。野中さんは体温調節が困難なため、デスクまわりに小型※3 イラストレーター:アドビシステムズ株式会社が開発・販売しているグラフィックデザインソフトシステム運用1課でデータ入力などを担当する宮副由佳さん沖 里緒奈さんはビジネスサポート課で、名刺作成などを担当しているシステム運用2課で地図の編集作業を行う野中鉄平さん9

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