働く広場2020年1月号
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働く広場 2020.1の送風機を置いたりエアコンの調節をお願いしたりしているそうだ。今後の抱負について聞くと「ソフトウェアの進歩に立ち遅れないよう、しっかりついていきたいですね。体力の続くかぎり、働きたいと思います」と意欲的に語ってくれた。 仲なか田た勝かつ治はるさんが課長を務めるビジネスサポート課の業務は、グループ企業の契約書類などの電子化や、それにともなう各種確認など多岐にわたっている。課員25人のうち障害のある社員が22人(身体障害6人、知的障害2人、精神障害14人)と、障害のある社員が社内で最も多くいる部署だ。「それぞれの性格や特性、技術レベルに合わせた『適材適所』を基本にしています。実際に業務を進めていく際は『ライン体制(連絡体制)』をしっかり機能させることを大事にしています。業務内容によって、だれとチームを組み、だれの指示を受け、困ったときにはだれに相談するのかを明確にしています。社員が『だれの指示を聞けばよいのか』と混乱するのを避けるためですね。3人がリーダーで、障害のある社員からサブリーダーを選出しています」また、職場全体として気を遣っているのは配席だそうだ。「人の動きが気になる人はなるべく奥の席に、音に敏感な人はなるべく静かな席で、さらに耳栓をつけてもいいことにしています。基本的には全員の顔がわかるように、オープンスペースを維持しながらできる範囲で配慮をしています」そして、これまでをふり返り、対応に苦慮しながらも乗り越えた社員のケースについても話してくれた。反復性うつ病性障害で転職をくり返していたという男性は、九州地理情報のトライアル雇用を無事に終えたものの、正社員になった途端に出社できなくなってしまったという。そこで3カ月間休職をしてもらい、紹介元のハローワークや就労支援機関、家族らのバックアップを得ながら1カ月間の療養後、ハローワークのリワーク支援を2カ月間受けてもらって徐々に出勤でるようになった。「本人によると、仕事が嫌いなのではなく、仕事の仕方や生活リズムの取り方がうまくコントロールできなかったようでした。ハローワークの担当者だった精神保健福祉士の方の支援で、自分について知り、どういう行動をとれば働きやすくなるのかを学び『精神的にすっきりできた』と話していました」復職後は6時間勤務から始め、これまで2年間ほぼ休まず通勤している。様子を見ながらフルタイムの8時間勤務に挑戦するつもりだそうだ。「継続勤務が可能となったのは、彼が『自分に合わせた働き方』を見つけたことが大きかったと思います。これは障害に関係なく、だれにでも当てはまることですよね。どの社員にも、自分なりの働き方のペースを見つけるように伝えています。また、職場の配慮が必要であれば、可能なかぎり対応しています。会社側にバックアップのための理解があることも大きいですね」また仲田さんは、日ごろから極力一人ひとりの話を聞くことを心がけている。コミュニケーションが苦手な社員から出てくる数少ない言葉を、こちらが勘違いして受け止めてしまうこともあるからだ。「例えば『体調が悪い』といってきたら、具体的な症状はもちろん、昨日は何時に寝たのか、根掘り葉掘り聞いていくと、原因が別にあることもあります。毎日だれかと面談していますね。内容そのものを理解できなくても、すっきりしてくれる社員もいます」もう一つ大きな役割を果たしているのが日誌だという。仲田さんは「交換日記のような感じでざっくばらんに書いてもらっています。文面や量を見るだけでも体調の変化が見てとれます」明確な連絡体制、日誌と面談ビジネスサポート課長の仲田勝治さん面談を通して、しっかりとコミュニケーションをとる10

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