働く広場2020年1月号
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も、あんなに苦労しなかったかな。これから障害者雇用を始めようという企業の方は、まず支援機関と連携したほうがいいと思います」とアドバイスをしてくれた。泉さん自身も勉強した。障害者職業生活相談員、企業在籍型職場適応援助者の講習も受けた。現在の大創産業の採用の手順は次の通りだ。①障害のある求職者が活躍してもらえそうな仕事を切り出す。②切り出した仕事をベースに周囲の支援機関や特別支援学校などに働きかけ、実習に参加してもらう。③店長やリーダーの意見も尊重する。そのうえで面接をする。また入社前には、本人や支援機関から障害の特性を聞き取り、配慮すべきことも周囲と共有する。マニュアル類も積極的に準備している。大創産業で働きたいという意欲は、これまで同様に絶対条件。そのうえで、自身の障害について理解できている人。勤怠の安定している人。必要な配慮が自分で発信できる人。周囲と協力して仕事をすることができる人、というのが採用の基準だ。「当初の失敗が糧になって、いろんなやり方を試してこの方法に至りました。採用の手順を変えていってから、定着率が向上し、手ごたえを感じています」という泉さん。出すことだったという。そして応募があったら、全国のどこにでも現地に足を運び、面接を行って採用を進めた。「ダイソーでは仕事の種類が豊富なので、やってもらう仕事には困らなかった」そうだ。「ダイソーのスタッフはみんな人が好きですし、協力し合っていけばうまくいくと思い採用していったんです」仕事自体は問題なかったが、それだけではうまくいかなかった。障害のある人が働き続けるには、生活基盤や体調の安定なども大きく影響していることを知らされる。入社した障害のあるスタッフ本人からの相談も多く舞い込んだ。現場のスタッフからもさまざまなSOSがあったそうだ。「プライベートな部分は企業がなかなか立ち入っていけない部分だった。残念ながら早期離職となった障害者スタッフもいました」と話す。泉さんが、障害者就業・生活支援センターや、就労移行支援事業所といった支援機関の存在を知るのは、障害者雇用を担当して2年目だったそう。「当社にかぎらず、社内に障害者雇用の経験者など、まずいませんよね。悩んでもどうすればいいか教えてもらえないんです。支援機関という存在があることを知っていたら、障害のある方も自分たち 「株式会社ダイソーウイング」は、大創産業の特例子会社である。大創産業常務取締役の小川さんが、代表取締役も務めている。ダイソーウイングの本社は、大創産業本社と道路を挟んだ場所にある。全国の店舗で使う包装資材、伝票類のピッキングと配送を、26人の障害のあるスタッフたちが担当している。「終わりました!」、「失礼します!」、「ありがとうございます!」と、活気のある言葉が飛び交う職場だ。大創産業のモットーである「感謝」の言葉を書いたカードも手づくりで、包装資材などの発送時に荷物に同梱するのだそう。店舗スタッフからは「感謝のカードが入っていることで、お客さまや仲間に対する感謝の気持ちを思い出す」と喜ばれている。7年前から障害者雇用を担当する人事・総務本部人事部人事・採用課主任の泉いずみ敏とし夫おさんに話を聞いた。最初に取り組んだのは、全国で求人を全国の店舗へ送る資材発送も担当障害者雇用の考え方と方法働く広場 2020.1各店舗へ発送される荷物に同封される手づくりのカード24

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