働く広場2020年1月号
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働く広場 2020.1  難病のなかでも「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」は若年層での発症例が多いこともあり、就労している方も多い病気です。腹痛や下痢、血便などの症状で入院し診断されることが多く、それをきっかけに自主退職する方もいます。しかし実際は治療により症状は数カ月で安定するため、就労継続の支援が重要です。腸を切除し人工肛門にす 「潰瘍性大腸炎」は大腸の粘膜に、「クローン病」は小腸と大腸を中心として、消化管のどの部位にも慢性の炎症や潰瘍が起こりうる、原因不明の病気です。主に消化器機能に症状(腹痛や下痢、血便など)が出ます。これら二つの病気は、薬物治療などの継続により普段通りの生活を続けることができますが、一時的に症状が悪化する場合があります。特に「クローン病」では、入院を必要とする場合もあります。一般に病気を理由に仕事を制限することはありませんが、過労や過度のストレスで症状が悪化することもあるため、疲れを残さないよう注意が必要です。難病のある人と就労消化器系の代表的な二つの難病二つの病気について就労の状況Vol.2消化器系の代表的な難病について 前回に続き河津博美さんの監修のもと、難病のある人が就労するために必要な、難病への理解と配慮すべき点について紹介していきます。第2回目の今回は、消化器系の代表的な難病であり、就労世代に多い難病として「潰かい瘍よう性せい大腸炎」と「クローン病」についてまとめました。出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター調査研究報告書No.103「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究」(2011年)より抜粋• 一般事務従事者(医療事務、電話応対事務処理)(40.0%)•専門的・技術的職業従事者(看護師、安全衛生管理)(20.0%)•様々な事務従事者(人材派遣業)(10.0%) •サービス職業従事者(訪問ヘルパー)(10.0%) •保安職業従事者(夜間警備員)(10.0%) 疾患名潰瘍性大腸炎 手帳有手帳有手帳無手帳無クローン病 現在、就労している職種の具体例(比較的多い職種)北九州市難病相談支援センター 難病支援担当、保健師の河津博美さん• 一般事務職 (14.7%)•様々な専門的・技術的職業従事者(研究者、臨床心理士)(6.4%)•様々な事務従事者(3.8%)• 販売店員(3.8%) • 営業職業従事者(保険外交員、医療機器販売・技術支援)(3.8%)• 一般事務従事者 (17.4%)• 様々な事務従事者 (税務申告、内部監査サポート)(10.1%) • 情報処理・通信技術者(SE、ソフトウェア開発)(5.8%)• その他の専門的職業従事者(ジムトレーナー、不動産鑑定士)(5.8%)• 製品製造・加工処理従事者(金属製品)(5.8%)• 一般事務従事者(16.9%) • 様々な専門的・技術的職業従事者(弁護士、獣医等)(8.4%)• 分類不能の職業(4.5%) • 社会福祉専門職業従事者(保育士、社会福祉士)(3.9%) • 販売店員(3.9%)図1 疾患別の現在就労している職種の具体例(疾患名別・手帳の有無別の中の割合)26

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