働く広場2020年1月号
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――ハートフルの従業員の成長ぶりがわかりますね。渡邊 私は日ごろから「人の成長こそが会社にとって命だ」と伝えています。社員の成長のために会社としてどこまで投資していくのか、力を入れていくのか、覚悟を決める必要も出てきます。先を見て中期的な戦略として必要なことに取り組んでいけば、結果はついてきます。全従業員の成長こそが、会社の付加価値の幅につながるのだと実感しています。 実際に「餃子の王将」では、従業員の満足度が高い地域ほど業績が上がっていました。外部機関の調査で、従業員に「働くうえで一番満足していることは何か」について聞くと、「お客さまに褒められたとき」、「自分の成長を実感したしかにきっかけは法定雇用率達成なのですが、あらためて法定雇用率というのは目的ではなく一つの副産物なのだと。潜在的に眠っている、社会貢献できる力を見つけ出し、安心・安全・健康を前提に、企業の生産性向上に活かしていくべきです。 日本の社会では少子高齢化による労働力不足で、海外から人を呼ばないと成り立たないと盛んにいわれていますが、本当にそうなのかなと思います。人をどうとらえるか視点を変え、視野を広げて個性に置き換え、「適材適所」で考えれば、まだまだ活かせる労働力が眠っています。一定の努力や工夫は必要ですが、その総和はたいへんな戦力になるのではないでしょうか。1社でも2社でも積極的に取り組む経営者が出てくれば、少しずつ社会全体の生産性も上がっていくでしょう。結果として「働く幸せな人」が増えることが、なにより素晴らしいことだと思っています。とき」が多かった。23エリアに分けて前回調査と並べたところ、見事に業績アップとの相関関係が明らかになりました。私は、同じことがハートフルでも起こっていると思っています。――今後の課題や展望について、お聞かせください。渡邊 人が一生働くなかで、さまざまなライフイベントがあります。よいことであればみんなで喜び拍手を送ります。問題は、悪いことがあったときです。どのように寄り添いサポートするのか、ハートフルはまだ3年弱と経験不足ですが、日々ていねいに取り組んでいくことを心がけています。 いま働いている従業員とともに10年、20年後を迎えたい。そのときに抱える悩みも支えられるように「何が必要なのか」を話す機会も増えました。例えば、組織の拡大にともなう規則の整備や福利厚生などです。現場でも「あったらいいな」、「こんなことがしたい」というふうに活発に意見を出し合っていってもらいたいですね。 ――これまでをふり返り、障害者雇用と企業のあり方についてどのように思われますか。渡邊 私たちはハートフルを運営しながら、障害者雇用の本来の意味を実感してきました。たLeaders Talk働く広場 2020.1焼肉パーティーで渡邊社長を囲むハートフルのみなさん(写真提供:王将ハートフル)障害者雇用は人材の掘り起こし5

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