働く広場2020年2月号
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働く広場 2020.2アレンジメント」の課題は花束(50分)、食卓テーブル装飾(70分)、花嫁の花束(60分)の三つ。用意された25種類の花材やリボンなどを使う。兼かね松まつ利り江えさん(静岡県)は、就労移行支援事業所で指導員をしている。「かつて花屋に勤めていた経験を活かしました。事業所のみなさんに教えてあげられたらいいなと思います」。 今回から競技種目になった「ネイル施術」の課題は、ベーシックマニキュア(50分)とネイルチップアート(90分)の二つ。藤ふじ本もと侑ゆう奈なさん(兵庫県)は、住宅リフォーム会社で事務をしているが、もともとネイルを学んでいたことから出場することに。会社側も「仕事のモチベーションにつながる」と全面的にバックアップ。女子社員らもネイルをしてもらい好評なことから、今後は福利厚生の一環として藤本さんが一役買うかもしれないという。「まずは楽しんでできるように」と笑顔で臨む。●技能デモンストレーション種目 (理容/フォークリフト操作) 技能デモンストレーション種目として今回は入賞に届かなかったが、本人は「講評を聞き、また挑戦したい」と決意を新たにしていた。●歯科技工/義肢/ フラワーアレンジメント/ネイル施術 「歯科技工」(5時間)は、細かい特殊器具を使いこなす匠の技が見どころだ。箱はこ石いし哲てつ郎おさん(青森県)は歯科技工所の経営者。しばらく大会から遠ざかっていたが、3人の子どもが大学を卒業したのを機に、昨年から再挑戦。持病で松葉杖を使っていたが、高齢化にともない2年前から車いすユーザーになったという。「出場するため電車を乗り継いでくることで、車いすについて周囲に認識してもらうことも大事。大会で技術を客観的に評価してもらい、仕事につなげていきたいです」。今回は努力賞を受賞した。 「義肢」の課題(4時間15分)は下か腿たい義足ソケットの製作。内側のクッション加工など、繊細で的確かつ迅速な技術が求められる。専門学校で活躍中の先生と、職業能力開発校に通う学生が出場した。 来場者の目を楽しませていた「フラワー今大会初めて行われた「理容」には2人が参加。真ま鍋なべ正まさ博ひろさん(岐阜県)は35年前に理容師資格を取り、理容室を一人で切り盛りしている。聴覚障害があるが、店では簡単な筆談やジェスチャーでお客さんとヘアスタイルを相談する。「若い人たちに技術などを引き継いでいきたいですね」。もう一人の加か藤とう康やす宏ひろさん(千葉県)は「全国のろう学校では理容科の数も志望生徒も減っています。この機会に理容の仕事のよさをアピールし、アビリンピックの競技種目になったらいいなと思います」と笑顔で伝えてくれた。 もう一つの技能デモンストレーション種目は、2014年の全国アビリンピック愛知大会以来2回目となる「フォークリフト操作」。「株式会社豊田自動織機」の3事業部から聴覚障害のある社員3人が代表で出場し、同僚たちから熱いエールを受けながら腕前を披露した。同社にはフォークリフトの免許を保有する15人の聴覚障害者がいる。同社では毎年フォークリフト操作の社内競技大会も開催されているそうだ。技能デモンストレーション種目「フォークリフト操作」中なか井い佑ゆう亮すけさん(愛知県)新たな競技種目「ネイル施術」の藤本侑奈さん(兵庫県)「歯科技工」箱石哲郎さんは努力賞を受賞(青森県)技能デモンストレーション種目「理容」の真鍋正博さん(岐阜県)「義肢」で銅賞を獲得した小お澤ざわ悠ゆう一いちさん(鹿児島県)「フラワーアレンジメント」兼松利江さん(静岡県)8

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